ヒューマノイドロボット『RYUJI』mission 8-⑮
「お話って?」
「さる財界の令嬢と縁談があってね」
「恭介…ですか?」
「ええ、今までも散々すっぽかされてきたけど、今回はあの子も断りきれないでしょう」
「…それで俺に」
「別れろとは言わないわ」
「あの子の父親もそう、好きなものは一生変わらない」
「……」
「この縁談がまとまるまで、しばらく距離を置いてくれないかしら?」
「…政略結婚」
「後継を設けるためよ。仕方ないでしょう」
恭介の母は冷たい視線で隆二を見る。
「随分お気に入りの様だから」
まるで汚らわしいものを見るような眼差しを注ぐ。
「別れなさいと忠告しても、一生側に置くと言って聞かないでしょうし」
「それが俺とは限りません」
「あら?一番のお気に入りなんでしょ?」
冷ややかに笑った。
この人にとって、夫や息子の男色という趣味は、受け入れ難くおぞましいものなんだろう。
「ご心配なく…恭介の縁談がまとまったらアイツとは別れます」
「もともとそういう約束ですから」
一瞬…
病室の中で何か気配がした。
「まぁ…好きにすればいいけど」
「じゃあ、私はこれで」
母は病室の方を一瞥もせず、その場を去っていった。
to be continued…
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2018.09.01 00:51
2018.08.31 22:50