ヒューマノイドロボット『RYUJI』mission 8-⑬
恭介と恋愛ごっこするようになってから、俺は徐々に相方の行動に関心を持たなくなっていった。
俺の中で臣よりも恭介の存在の方が大きくなってきて…
しばらくたった頃に耳にした臣の破局報道にも、何の感情も湧いてこなかった。
無関心になると…心が楽だ。
傷つかないで済む。
あの頃心に空いた隙間も、恭介が全て埋めてくれた。
それくらい魅力的に、時に大胆な方法で俺を愛し、大きく包んでくれた。
束縛もしないから自由だった。
恭介の浮気には閉口したけど、無関心でいようと思えばいられた。
いつからだったか。
今度は臣の方が俺の行動に関心を持ち、スキンシップを測るようになってきた。
鬱陶しいくらいに絡んでくる。
なんなんだ?
同性を引きつける様な強烈なフェロモンでも出てんのか?
今更…俺に関心を持つな!
俺のことはもうほっといてくれ!
相方が俺に対して異常なほど関心を持ってくることを恭介に相談するようになり、そこからロボット制作のプランへと話が飛躍していった。
そして現在…
RYUJI が生まれ、その存在によって忘れていたあの時の感情が再び蘇ってきた。
臣の熱愛報道を知った時の、あの感情…
全く同じ…いや、それ以上の嫉妬の炎で焼き尽くされそうになっている自分がいる。
そして気づいた。
全ての始まりは臣…お前なんだってことに。
俺は…いったい誰のことを愛しているのか?
今更気づいたところで、もう遅い。
全ては始まってしまっているのだから…
病室の前まで来て人影が視界に入ってきた。
濃い紺色の絽の着物を粋に着こなして佇む女性…
恭介の母親がそこに立っていた。
to be continued…
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2018.08.27 13:06
2018.08.27 11:37
2018.08.27 10:27