『W旦那+(プラス)』 TAKAOMI29 三代目妄想劇場ショートストーリー
乃愛が示した場所に向かうタクシーの中で、眠っている間に起きた出来事の一部始終を聞いた隆二は、心に光が差していくような気分になった。
タクシーの後部座席で臣と隆二の間に座る乃愛は、ニコニコ笑って隆二を見ている。
「乃愛…ありがとう」
隆二は乃愛の髪を優しく撫でた。
臣「なんでだろう?乃愛が言う通りに、俺も大丈夫だって思うんだ」
隆二「乃愛は俺たちに、希望の光を灯してくれたんだね」
臣「そういえば乃愛?」
乃愛「あい!臣たん、なぁに?」
臣「リビングに入ってすぐパパに怒ってたでしょ?間に合わない…って」
「俺、それを聞いた時、一瞬だけど最悪の事態を想像してしまって…」
乃愛「ちがうよ!臣たんが悲しい気持ちになる前にお話したかったの」
臣「俺も途中からそんな気がしてた」
隆二「夢の中にも乃愛が出てきて、俺を励ましてくれた」
臣「これで無事に隆臣が保護されたら…乃愛は俺たちの恩人になるね」
隆二「俺も…乃愛の言う通りに、たっくんは無事に見つかる気がする」
乃愛「たぁくんは大丈夫だから、もう泣かないで!るーたん」
隆二「乃愛…おいで」
隆二が両手を広げると、乃愛は素直にその胸に飛び込んでいった。
「ありがとう、乃愛」
臣も穏やかな表情で2人を見つめている。
隆二の肩越しに顔を出していた乃愛が、外を指差して言った。
「パパたんがいるよ♫」
現地にある民家から出てきた剛典が見えた。
臣「あ、ここで降ります!」
タクシーが止まった場所は、一戸建てが並ぶ閑静な住宅街だ。
「たっくん、すぐに会えるからね…」
はやる気持ちを抑えるように、隆二は静かに呟いた。
つづく
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2018.08.20 07:48
2018.08.20 07:46
2018.08.20 04:55