ヒューマノイドロボット『RYUJI』mission 8-⑦
「本名?いい名前だね」
「ありがとう」
「あ…」
「どうかした?」
「…いきなりグラっときた…ちょっと飲み過ぎたかな?」
手で顔を覆った。
熱いものがこみ上げてきた。
「…話した方が楽だったら、聞くよ」
「え?俺の失恋話のこと?」
「ああ…」
「…そんなんじゃないんだ、俺たちはそんなんじゃ…」
「俺たち?ひょっとして相手は男か?」
「そうだよ、だから失恋なんかじゃない」
悲しくなんてないのに、涙が出てきた…
「恋じゃないけど…失った感はあるね」
今日の俺、変だな…
初対面の男に本音を語り始めている。
「涙が出るほど、思ってたように見えるけど?」
「なぜそう言えるの?」
「…泣いてるから」
男の言う通りだ…
おれ、なんで泣いてんの?
こんな悲しい思いはもう嫌だ…
臣…勝手にしろ。
もう俺は干渉なんてしない。
お互いに同じくらいに大切に思っていて、
なんでも語り合える存在だって信じてた俺が馬鹿なんだ。
お前がやりたいように生きるなら、
俺も好きにさせてもらう。
これで…楽になる。
今は顔も見たくない…
俺は涙を拭って、追加の酒を一気に飲み干した。
「マスター!おかわり…」
横にいる男はいまどんな顔で俺を見てるだろう?
隣に顔を向けた瞬間に再びグラっときた。
男の美しい影が歪んで見えた。
to be continued…
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2018.08.18 00:39
2018.08.17 23:31