ヒューマノイドロボット『RYUJI』mission 8-③
離れることなんて…できない。
恭介の夢物語を聞いて、隆二はそう自分に言い聞かせた。
恭介がまた眠ったのを見届けてから、一階のロビーに降りてきた。
缶コーヒーを買って長椅子に腰掛ける。
ロビーには夜間の救急外来にやって来たであろうひと組の家族が、真剣にテレビを見ている。
隆二は顔を合わせないように、テレビから離れた所に座っている。
「日本‼︎サッカーワールドカップ決勝トーナメント進出が決まりましたー!!!!!」
アナウンサーが放つ興奮冷めやらぬ声がロビーに響いている。
すると、ロビーにいた若い女性が声を上げた。
「え⁉︎あれ、観客席に座ってるの三代目の臣くんと隆二くんじゃない?」
女性の横に座っている女子高生も黄色い声を上げた。
「ほんとだ‼︎登坂くんと今市くんだ!カメラマンもわかってて写してるよね!」
「私服もカッコいいね〜!」
「おねぇちゃんめちゃ好きだもんね」
液晶画面にはお互いを見つめ、楽しげに会話をする臣とRYUJIが写っていた。
「臣…」
その名前をつい口に出してしまった。
隆二は静かに立ち上がり、苛立ちを隠さないまま足早に病室へ戻った。
隆二が立ち去ってすぐ、柱の影からひょっこり顔出した人がいる。
華奢な体つきで柱にもたれ、隆二の後ろ姿を見つめている。
「そろそろ仕掛けるか」
to be continued…
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2018.07.02 05:28
2018.07.02 05:26
2018.07.02 04:21