『W旦那+(プラス)』 the "no" phase⑲ 三代目妄想劇場ショートストーリー
「おとーしゃん、お茶くださーい!」
「お茶か?」
公園を出てすぐに保冷バックを開けてみた。
「水筒カラッポだね」
「お茶あるよ♪」
隆臣が入り口付近にあった自販機を指差す。
「待ってよ」
臣はジーンズの後ろポケットに入れていた長財布を取り出した。
「カードしか入ってないな…」
「おとーしゃん、お金持ってないの?」
「現金は隆二に渡してるからな」
「たぁくん持ってる‼」
「おとーしゃん、シャンシャン🐼とってぇ」
「ん」
隆臣が背負っているパンダリュックをおろして隆臣に渡した。
「シャンシャンずいぶん汚れてきたね 笑」
「開けてぇ!」
「ほい」
「パンマンある?」
「アンパンマンの財布だね、開けるよ」
「たぁくん、おこじゅかいある?」
臣と一緒に財布の中を覗きこんだ。
「うわ…隆臣お金持ちだね」
「そーなの?」
「いっぱい入ってる…あれ?これって…」
大きめのアンパンマン財布の中には、
お札と小銭がバランスよく入っていて、
小さなネーム入れに、臣と隆二の連絡先が書いてある。
迷子になった時のことを想定して、隆二が用意したのだろう。
「…あいつ」
臣がエクボを見せて笑った。
「どしたの?なぁにこれ」
「ん?隆二パパの愛がいっぱい入ってたよ」
「パパのぉ?」
「そうだよ。隆臣はパパや沢山の人に愛されて幸せだね」
「おとーしゃん、お茶くださーい‼」
「あ‼ごめんごめん💦…てか、聞いてないし …笑」
「じゃ、お小遣いから借りるね」
「どーぞ」
ペットボトルのお茶を買って隆臣に渡すと、
「んく…んく…ぷはー💨」と美味しそうに飲んだ。
汗をいっぱいかいて、モヒカンもぺしゃんこになってる。
臣は隆臣の髪を触りながら言った。
「帰ってお風呂入ろうな」
「おとうしゃんも、ぷはーしゅるの?」
「うん、隆二が帰ってきてからね 笑」
つづく
8コメント
2018.06.14 11:48
2018.06.14 11:33
2018.06.14 11:27