『W旦那+(プラス)』 the "no" phase③ 三代目妄想劇場ショートストーリー
公園へ行く道すがら、商店街を行き交う子供連れの主婦が、すれ違うたびに健二郎を見て、ニコニコ笑っている。
(しくった…虫とり網持つの忘れてて、しゃーないから背ったろうたら、この有り様や…)
「あれ、隆臣くんでしょ?髪型変えたんだ!可愛いーっ!」
「インスタで見た見た!実物はもっと可愛いよね」
「健二郎さんベビーシッターしてるのかな」
「虫とり網背負って、まるで少年…」
(安定せーへんから、たすき掛けにしたけど…)
(LDHの関係者に会わんことだけ願おう…)
健二郎としっかり手を繋ぎ、隆臣がいろんな所を指差して質問してくる。
珍しいものを見ると立ち止まるので、なかなか公園にたどり着けない。
「けんちゃん、これは?」
「ん?これはな、ネギや」
「ふーん」
「これは?」
「これはインコや」
「お名前は?どゆの?」
「三代目や」
「しゃんだいめ、たぁくんちにもいるよ!」
「そーか?世の中三代目だらけやなぁ…」
(ペットショップのインコにまで勝手に名前つけてしもた💧)
「けんちゃん、これは?」
「…胸当てや」
(ブラジャーとは言えんな…)
「あれは?」
「吉野家の牛丼」
「あれは?」
「タバコ屋のおばあちゃん」
「お名前は?」
「知らんなぁ…」
「これは?」
隆臣は立ち止まって、コンビニ前に繋がれた散歩中の柴犬を指差した。
「ワンコ🐶や。知ってるやろ?たっくん」
「お名前は?」
「…三代目や」
「まぁた、いっちょだね♫」
隆臣は興奮して、小さな鼻の穴を膨らませている。
(俺、嘘ばっかり教えてるよな)
(メンバーに気づかれん内に、隆臣に本当のこと言うたらなアカンな…)
「けんちゃん!」
「なんや?」
「お鼻出た」
「おっしゃ、今拭いたるから待ちや」
隆臣が背負っているパンダリュックからティッシュを取り出した。
「たっくんは興奮したらすぐハナ垂れるなぁ」
「ハナタレ?」
「ハナタレや 笑」
「ハナタレ、ハナタレ➰🐻」
(また、いらん事教えてしもた…)
(あれ?そーいえばイヤイヤ言わんようになったな)
「たっくん?」
「なーに?けんちゃん」
「健ちゃんのこと好きか?」
「いやん😡」
(アカン💧この数分間だけの奇跡やったか…)
(それにしても普通は、ヤダ…とかイヤとか言うやろに、なんでこんな可愛い言い方してんのやろ?)
(…まさか?)
(あいつらの会話を寝てる間に聞いてて、無意識に覚えてるとか?)
ー隆二、愛してるよ
ーいやん
(なに想像してんねん…おれ💧)
赤面している健二郎の顔を見上げて、隆臣が言った。
「けんちゃん、ちゅいたよ」
つづく
7コメント
2018.05.26 04:23
2018.05.26 04:18
2018.05.26 04:17