ヒューマノイドロボット『RYUJI』mission5-⑤
ビュゥゥゥゥ…
南極点・一日中太陽が沈まない白夜(びゃくや)…
容赦なく荒れ狂うブリザードの中で、RYUJIの金髪が舞っている。
マイナス30度、地球上で最も寒い環境の中で行われている耐久試験…
息も凍りつく極限の環境で、立つこと3時間が経過しようとしていた。
RYUJIを撮影しているドローンからはリアルタイムで、ロボット工学研究所に映像が送られてくる。
「このブリザードの中では、ドローンの方が持ちません!」
ドローンを遠隔操作している研究所員から通信が入った。
雅「RYUJIの姿も映像では捉えにくくなっています」
恭介「わかった。180分で終了しよう」
モニターでも、白いブリザードの中に立つ微かな黒い影が映るのみになった。
恭介「RYUJI、聴こえるか?耐久試験終了だ。戻っていいぞ」
RYUJI「……no sweat」
雅「なんて言ったんだろ?」
恭介「大したことない…か」
雅「表面の皮膚は生でしょ?」
恭介「ああ…」
雅「生身の人間だったら外出禁止で基地から一歩も出れない状態…」
恭介「隊員と同じ専用の防寒着は身につけているが…」
恭介に聴こえない位の声で、雅が呟いた。
「凍傷にでもなればいいのに…」
to be continued…
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