ヒューマノイドロボット『RYUJI』mission4-③
しばらく考え込んでいた臣が口を開いた。
臣「相手がロボットなら、傷つけることもないか…」
恭介は髪をかきあげ優雅に笑った。
恭介「シャツを引き裂く必要もない」
ズキッ…
臣の心が悲しい音を立てた。
恭介「決まりだな。…ではここにサインを」
***************
「案内しましょうか?」
ロボット工学研究所の正面ロビーで、隆二を呼び止める者がいた。
振り向くと、白衣を着た雅が立っている。
隆二はムッとして答えた。
「一人で行けるから必要ない」
受付嬢に軽く会釈して歩き出した隆二に雅が言った。
「先生なら教授室にはいないよ」
隆二は立ち止まって振り向いた。
雅「商談用の応接間、知らないでしょ?」
隆二は雅を一瞥しただけで何も言わず受付に行き、教授室で待っていると恭介への伝言を依頼した。
雅「直接応接間に行ってみれば?
あなたのよく知っている人物と商談の真っ最中だよ」
隆二は驚いた表情で雅を見た。
隆二「…もしかして、臣⁉︎」
雅「だから僕が親切に案内してあげるって言ってんのに」
隆二は受付嬢に尋ねた。
「すみません!商談用の応接間ってどこですか?」
受付嬢はiPadを片手に、応接間の位置を隆二に伝えた。
「ありがとうございます」
隆二は雅の方を振り返りもせず、早足に応接間へと向かった。
雅「ちっ…無視かよ」
受付嬢が困った様子で雅に声を掛ける。
「雅さん、今市様への態度が悪いと、教授にまた叱られますよ!」
雅は鼻でフンっと笑った。
雅「アイツは先生にチクったりしないだろうから、君たちが黙ってりゃわからない事なんだけどね」
「教授から、職員の行動は逐一報告するように仰せつかっています」
雅「お堅いことばっか言ってたら、お嫁の貰い手なくなるよ〜」
反論しようとした受付嬢を、別の同僚が止めた。
雅は口笛を吹きながら歩き出した。
(大切なものを一つ、失ったことにも気づいていないなんて…)
(あんたは…つくづくおめでたい人だ)
to be continued…
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2018.04.23 12:13
2018.04.23 11:22