『W旦那+(プラス)』番外編① 三代目妄想劇場
「ただいまー!健ちゃん、変わりなかった?」
臣と隆二が暮らすマンション。
玄関から隆二の明るい声が聞こえた。
「おっかえりーっ‼︎たー坊、パパ達帰ってきたよ!」
臣「あれ?今のELLYじゃなかった?」
隆二「来てんのかな?」
臣と隆二は、泊まりがけで行っていた関西から帰ったばかりだ。
ととととと…と、隆臣が一人で廊下を歩いてきた。
隆二「たっくん♡ただいま!」
臣「隆臣!パパんとこおいで♫」
二人は玄関でしゃがみ込んで両手を大きく広げた。
隆臣「パーパ、はーい」
隆臣は片手に握りしめた透明なビニール袋を差し出しながら歩いてくる。
隆二「ん?なんだろ?プレゼント?」
臣「抱っこより先みたいだな」
二人まであと3歩くらいの所で隆臣が手を離した。
パサっとビニール袋が床に落ち、
中からザワザワザワ…と団子虫の大群が出てきた。
臣「むっ…虫ーっ!」
隆二「ぎゃー‼︎…」
二人は外へ飛び出して行った。
健二郎とELLYがリビングから顔だけ出してニタニタ笑っている。
健二郎「たっくん、落っことしたんか?」
ELLY「うわっ…たー坊の周り団子虫だらけだ」
隆臣はその場にしゃがみ込んで
「むいむい」と言いながら団子虫を掴もうとしている。
健二郎「ELLY!団子虫回収‼︎」
ELLY「オケ♫」
健二郎とELLYが隆臣の隣で団子虫を回収していると、玄関のドアから恐る恐る隆二が顔を出した。
「もー…健ちゃん!ELLYと何してんの‼︎心臓が止まるかと思った…」
健二郎「何って…たっくん連れて近くの公園で団子虫集めててやなぁ…」
ELLY「そこへ偶然俺が通りかかって、取れるわ取れるわ♫」
隆二「あー…俺もちっさい頃やったことある…」
隆二の肩越しに怖々臣が顔を出した。
隆二の両肩をしっかり掴んでいる。
臣「おれ…ガキの頃から虫ダメだって…隆二、引っ越そうか?」
健二郎「臣ちゃん…団子虫くらいで引っ越ししとったら、これからどんだけ越さなあかんか…」
ELLY「たー坊、動物とか昆虫とか大好きだもんね♫」
健二郎「しやな!さっきもリビングでちっさいクモと遊んどったし」
臣「げっ…クモ?クモいたの?うちに?」
隆二のウエストに臣がギュッと抱きついた。
健二郎「おったで!ちっさいのが」
ELLY「ベビクモだろ?かわいーもんだよね!」
臣「…隆二!引っ越すぞ」
隆二「え?マジで言ってんの?」
臣に後ろからギュッとされ、隆二が赤い顔をしている。
隆二「んな訳にはいかねーよ。思い出が詰まった家だもん…」
臣「…わかってるよ」
そう言って臣は後ろから隆二の頬に軽くキスをした。
団子虫を集めながらそれを見ていた健二郎が、
「おいーーっ‼︎散々大阪でイチャイチャしてきたんちゃうん?帰って早々やめて!ほんま…」
ELLY「ほんとラブラブだねー♫たー坊毎日これ見せられてんの?」
隆二「健ちゃん!ELLY!臣もいい加減にしないと怒るよ!」
隆二がしかめっ面をしている。
臣・健二郎・ELLY「……」
隆二「健ちゃん!その団子虫すぐに公園に離してきて!…ったく」
健二郎「こわ…たっくん、助けてや!パパ愛ちてるってゆーたって!」
健二郎が隆臣に言わそうとする。
隆臣「パーパ」
隆二「ん?どーちた?たっくん、抱っこしよっか?」
しかめっ面がすぐに満面笑顔に変わり、隆臣の側に行った。
「むいむい」
隆臣が隆二の手のひらに団子虫を乗せた…
「ギャー‼︎……臣!取って取って‼︎虫やだーっ‼︎」
「うわーっ‼︎こっち来んな!イヤーっ…」
二人してまた外へ飛び出して行った…
健二郎•ELLY「……💧」
健二郎「ELLY…団子虫撤収…」
ELLY「ラジャ…」
隆臣「パーパ…ばいばーい…」
隆臣は二人が逃げた方を見て、寂しそうに小さな手を振った。
ELLY「たー坊…パパ達帰ったばっかだからね!そんな寂しい顔しないで。
エリたんも泣きそうになるから…」
ELLYが隆臣を抱き上げた。
ピコン♫…と健二郎のスマホが鳴った。
健二郎「おっ⁉︎がんちゃんからLINEや!今から彼女連れてこっちに来るんやて」
ELLY「彼女って、理愛ちゃん?」
健二郎「…いや、理愛姉サロン行ったから、ちっさい方の彼女連れてくるって」
ELLY「おー!乃愛来るの?あのbebyは俺の彼女だから♡」
健二郎「…はいはい」
つづく
完結後の番外編です。
日頃の感謝の思いを込めて、
Owndとアメブロ両方で公開します。
いつもお立ち寄りいただきありがとうございます。
12コメント
2018.03.27 03:07
2018.03.27 01:32
2018.03.25 13:46