三代目❤夢小説 『直己編32』

竹の精…



足、挫いていたのかな?



まだ帰りの新幹線まで時間はある



あの廃屋に行けば、もしかして何か手掛かりがあるかもしれない



俺はもう一度竹林を抜け、あの廃屋へと向かった





小径を抜けた所に……





あの廃屋は無かった…





何が何だか…





狐に化かされた気分とは、こういう事を言うのだろう…



こうなってみると、あの老人の存在すら疑わしくなってきた…



なぜか…笑いが込み上げてきた



古都の竹林で…



俺は複数の異形の者と交流を持ったのか?



不思議と恐怖に感じることはなかった



俺は嵯峨野にある店で真新しい下駄を買い、竹林の目立たない所へ置いた



鼻緒が切れていては不便だろう



すぐに竹林を管理する人の手によって、処分されるかもしれないが…



ザーッと竹林が泣いた気がした…



俺は竹林に向かって両手を合わせ、その場を立ち去った




直己が去ってすぐ後に、子供連れの観光客が竹林に差し掛かった



5歳くらいの女の子が、竹林の方を指差して言った



「マーマ!あそこに靴があるよ!」




「え⁉︎靴って…こんな所に靴なんか置いてるわけないじゃない」



「あったよ!ほら!あそこっ!」



女の子が靴を見た場所は、直己が下駄を置いた所だった…



「あれぇ?無くなってる」



「やだ…もう、ママを驚かせないでよ」



「気のせいよ!きっと…早く行きましょ」



女の子の手を取り、足早にその場を立ち去った




カラコロ…




カラコロ…





素足にぴったり合った下駄を履き、笹の葉模様の浴衣を着た女性が親子連れの後ろ姿を見ている…




女性は美しい声で口ずさんだ…




「太秦は 竹ばかりなり 夏の月…」









「太秦は 竹ばかりなり 夏の月」
意味=太秦は京都の西郊で、今でも竹藪が多いが、当時は人家も少なく、まさしく「竹ばかりなり」の感が深かったであろう。
夏の月明かりの夜、太秦のあたりを遊歩する。
道は竹藪の間をぬい、一つの竹藪が尽きると、また次の竹藪がある。
すくすくと伸びた竹、その細かい葉が月光をあびて涼しげに輝いている。
 注・太秦=京都市右京区の地名。
当時は郊外でここから御室(おむろ)・嵯峨のあたりにかけて竹藪が多かった。

作者・井上士郎 1742~1812
出典=小学館「近世俳句・俳文集」






マヤ

三代目・BTS妄想ストーリー書いています

2コメント

  • 1000 / 1000

  • マヤ

    2018.03.24 11:13

    @ひかりひかりちゃん♡ありがとうございます😊 私もこれを描いてて、嵯峨野の竹林行ってみたくなりました! 夜はちょっと怖いかな? いえいえ、観光客の多い人気スポットです♫ 夏は涼しそうだね🎋 直己さんに恋した連載も終わりました☺️
  • ひかり

    2018.03.24 10:45

    背筋がヒヤッとするけども、綺麗なお話でした👏👏👏 嵯峨野の竹林行ったことなくて、ずっとめっちゃ行ってみたいんですけど・・・しばらく怖くて行けなさそうです😱😱😱思い出しちゃう💦