『W旦那+(プラス)』第165話 三代目妄想劇場
理愛は真顔になった。
「広臣さん…記憶が戻って本当に良かった」
「あの時、私の力ではどうする事も出来ず、広臣さんがサキュバスに体を乗っ取られた後も、自分の目的を果たすことに躍起になってました」
臣は黙って理愛の話を聞いている。
「サキュバスが消滅したと聞いて、もう大丈夫かと楽観的に考えて、何も手を施さなかった…」
「結果、2年もオーナーを苦しめることになって…」
臣がようやく口を開いた。
「こうやって元に戻ったんだし…」
「隆臣っていう最高のプレゼントをもらったんだ」
「理愛はもう、何も気にしないでいいよ」
「……」
「どんな形であれ、隆二の夢を叶えてくれて…ありがとう」
「広臣さん…」
理愛は涙を見せまいと、小さく拳を握り、グッと堪(こら)えた。
今度は隆臣を抱いた隆二が理愛の前に出た。
「理愛ちゃん…俺からは一言だけ」
「はい…」
「…この子の…隆臣の、人生で一番大切な一年間を…」
「愛情たっぷりに慈しんで育ててくれて…ありがとう」
短いが、心のこもった隆二の言葉を聞いて、理愛は涙を流した…
どうしても堪えきれなかった…
そんな理愛を、剛典が優しく抱きしめた。
「理愛…なるべく早く帰っておいで」
「結婚式の準備は全て済ませておくから」
「はい…」
そうして、三代目メンバー全員に見送られ、理愛は母星へと帰っていった。
End
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2018.03.18 12:11
2018.03.18 05:09
2018.03.16 23:39