『W旦那+(プラス)』第162話 三代目妄想劇場
「理愛ちゃん‼」
「剛典さ…ん!?」
理愛は慌てて席を立ち、エレベーターの方へ走った。
(嘘でしょ?何故ここにいるの?)
銀髪を揺らし、エレベーターホールまで来た所で、追いついてきた剛典に後ろから抱きしめられた。
「は…離して下さい…」
息が止まりそうになる。
剛典の頬が耳に触れた…
息が荒い…
「しゅ…主人が待ってるので…離して」
「臣さんから全て聞いたよ」
ズキンと胸が痛んだ…
目を大きく見開き動揺を隠せない。
「子供は?生まれなかったの?」
「え…ええ…駄目でした…」
「理愛ちゃん…」
剛典は理愛と正面に向き合った。
両肩を持つ手に力が入った。
「俺の目を見て、ちゃんと答えて」
「も一回聞くよ。俺たちの子供は?」
理愛の目から涙が溢れた…
「理愛ちゃんの涙…初めて見た…」
真っ直ぐに理愛を見つめる眼差し…
もう嘘はつき通せない…
「生まれたんだね…」
全てを悟ったように剛典が言った。
その目は強い意志を持っていた。
「一歳になる女の子か…」
二人はロビーのソファーに横並びに座っている。
「地球に連れて来れる?」
理愛はなにも答えずただ泣きじゃくっている。
「理愛ちゃんがそんなに泣くなんて…なんか新鮮だね」
「あなたに子供なんて…まだ早すぎる…」
剛典は理愛を優しく抱きしめた…
「わかった…もうなにも言わなくていいから」
「……」
「子供を連れて地球においで」
「結婚しよ」
End
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2018.03.13 01:41
2018.03.13 01:37
2018.03.12 23:24