『W旦那+(プラス)』 三代目妄想劇場 番外編「三日遅れの七夕⑤」
臣「彦星と織姫みたいに、お前と会うのに14年もかかったりしたら、俺、多分挫けそうだなって」
隆二「そんな事態、起こりっこねぇし」
臣「そんなのワカンねぇぞ!どっちかが地球の裏側の国で長期ロケとかさ」
隆二「現実にそうなったら、家族総出でロケ地に引っ越すさ」
臣「…」
隆二「あ、今ちょっと嬉しそうな表情になった」
隆二は臣の頬をつんつんしている。
臣は、されるがままで、軽く眉を寄せて少し照れた表情を浮かべた。
臣「気のせいだろ」
隆二「臣ってホント分かりやすい」
臣「あ!ほら、あの時。俺が魔物に支配された後、しばらく頭の中に靄がかかってて、お前とも数ヶ月マトモに愛し合ってなかったじゃんか」
隆二「…ああ」
臣「あの数ヶ月間は一年にも十年にも長く感じてさ。今思えば、まさに織姫と彦星の心境だよ」
隆二「そうだったんだ」
「…あん時の臣ってボウッとしてほっとけなくてさ。なんていうか、無性に守ってあげたいって思った」
臣「魔物に支配されてた俺にも惹かれてたんだろ?お前…」
隆二「気づいてたの?」
臣「なんとなくね。そりゃそうさ。器はひとつなんだから。記憶っていうか、感覚は残ってるよ」
隆二(お前から逃れようとする俺を、無理やり襲ったことも、覚えてる?)
隆二は口には出さず、目で問いかけた。
もちろん心の声だ。
臣には届かない。
つづく
*️⃣超不定期更新にお付き合い下さり、いつもありがとうございます。
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