『W旦那+(プラス)』 三代目妄想劇場 番外編「三日遅れの七夕③」

臣は膝の上に隆二を乗せたまま、しばらく何も語らずゆらゆらしている。



隆二は《ラブラブやん》の反応を待っていた。



《そうだよ。俺らはラブラブさ。だから今夜は花火みたく愛し合って、燃え尽きようぜ》



そんな歯が浮くようなセリフを期待した。



だが、すぐに裏切られた。



臣が口にしたのは、壮大な天の物語だった。


「織姫と彦星ってさぁ、年に1回、七夕の日しか会えないじゃん」



隆二「…いきなり七夕の核心部分に触れるお前にびっくりした」



臣「まぁ、聞けって。実際は、ふたつの星の距離ってめっちゃ離れててさ」



隆二「確かに。巨大な天の川を挟んでるもんね」


臣「ふたつの星の距離は14.4光年。熱い逢瀬を願っても、片道14年半はかかるから、不可能なんだって」



隆二「そうなんだ」



臣「恋に落ちた織姫が失った物って、とてつもなく大きかったんだな」



隆二「…」



臣「なんだよ。ヘンテコな表情で俺を見下ろすな」



隆二「いや、臣って博学だったんだな…っていうか、ロマンチストじゃん」



臣「今頃気づいたか」



隆二「それと、お前を見下ろすしかないのは、臣の膝上に座ってるからだかんな。原因を作ったのはテメェだよ」



臣「テメェって呼ぶな。旦那様って言え」



隆二「バッカじゃねぇの 笑」



臣「馬鹿って言うな(  '-' )ノ)`-' )ぺし」



ちっとも痛くない頬へのタッチに、隆二は敢えて大袈裟に返してみせた。



隆二「痛~い!旦那が嫁に手をあげたよぉ💦」



臣「ん~、よしよし。痛かったか?ごめんな」



臣も負けじと隆二に合わせてくる。



隆二(ちぇ…調子狂うよな…ったく)



つづく



※超不定期更新になります。
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