『W旦那+(プラス)』第127話 三代目妄想劇場
ポローニアスと対面した理愛は、顔色一つ変えなかった。
「オフェーリア…私のことを思い出せなくても…」
「私には君が必要だ」
ポローニアスは理愛の白い手を取り、
キスをした。
理愛は何も言わず、銀髪の男を見つめている。
たまたま店に来ていた剛典はショックを隠せないでいる。
「人妻…」
そう言ったきり、カウンターに座り、下を向いたまま黙っている。
臣と隆二は、全ての選択を理愛本人に委ねた。
理愛「5年間も、本当に良くしていただいて…」
理愛「帰る場所がわかった今、これ以上お世話になるわけにはいきませんので」
そう言って理愛は二人のオーナーに頭を下げた。
隆二「本当にそれでいいの?」
臣は何も言わず、黙って理愛を見つめている。
剛典は目を閉じたまま固まっている。
理愛「はい…自宅に戻れば何か思い出すかもしれませんので」
ポローニアス「よく決心してくれたね、オフェーリア」
「ではすぐに手続きしよう」
「手続きが終わったらすぐに迎えに来るから」
滞在中のホテルの名刺の裏に、自分の携帯番号を記入して理愛に渡す。
ポローニアスは軽く理愛をハグして、
身元引き取りの手続きをしに、
係員の車で警察庁へ出かけていった。
ポローニアスが出てすぐに剛典が席を立った。
「俺、今から取材があるので帰ります」
理愛「…」
隆二「がんちゃん…大丈夫?」
剛典「はい…」
理愛「剛典さん」
玄関のドアを開けた剛典に、理愛が声を掛けた。
理愛「貴方のことは、忘れません」
理愛「ありがとうございました」
剛典は理愛の方を見ずに店を後にした。
End
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