『W旦那+(プラス)』 三代目妄想劇場 番外編「初めてのマック⑬」最終話
隆臣「きゃはは💦チュー、もうおしまいね!パーパ」
迫りくる隆二の唇を、隆臣は指で摘んで閉じた。
隆二は口を尖らせたまま、目元はニコニコしている。
臣「はぁ、いつまでじゃれてんだか…早く帰んねぇと、廉のマック冷めるぞ」
「…プン!」
弾ける様な幼児の声がして、臣は辺りをキョロキョロと見渡した。
その視線の先にいる女性達がまた黄色い声を上げた。
臣「はて?今、りおの声がしたような…」
店の外に目を向けると、街路樹から溢れる光の中で、見覚えのある青年が臣に向かって手を振っている。
臣「…廉にそっくり」
視線を下げるとゲジ眉の愛娘が、バギーから身を乗り出して、岩ちゃん人形を振っている。
臣「りーお!?廉、いつの間に」
廉「来ちゃいましたぁ!」
臣は店を出て走ってきた。
少し遅れて気づいた隆二と隆臣も、それに続いた。
臣「そっか。りお、おいで!抱っこしよ」
りおは手にした人形ごと臣に抱き上げられた。
りお「ミプン♪しゅきぃ」
臣「わぉ❤パパのこと好きって言ってくれるの⁉️泣く…」
隆臣を抱えたまま、傍にやって来た隆二は、りおではなく臣の頭を撫でた。
隆二「良かったね🎵臣」
臣「…ん」
隆臣「パーパ、りおじゃなくて、おとーしゃんをイイコイイコゝ(*´ ˘`*)~♬︎してんの。変ね!」
隆二「ふふふ…りおもいい子いい子♡」
りお「パピンもぉ、にぃにもぉ、しゅきぃ♪」
りお「ハニは、もっとだ~いしゅきぃ❤」
臣「うん、そうだね。この際俺は二番手でもいいよ♪」
隆二「ついに妥協したか 笑」
臣「いや、いつか奴に決闘を申し出る」
隆二「はいはい 笑」
隆臣「あい✋れーん!マックよ」
廉「うわ!隆臣くんのゴチですね!ありがとう。いただきます」
隆二「冷めちゃうから中で食べたら?」
廉「いえ、やっぱ家でゆっくりいただきます」
隆臣「冷めちゃうじょ」
廉「チンすれば大丈夫」
廉「先に子供達連れて帰りますから、たまにはお二人水入らずでゆっくりお散歩してきて下さい」
臣・隆二「…」
臣「廉…なんていい子なんだ。シッターは完璧にこなすし、俺たちに気遣いまでして」
隆二「本当にいい子。じゃあお願いするね」
廉「はい」
臣「あ、トレイ片すの忘れた💦」
自分たちが座っていたマックの座席を見ると、既にクルーがトレイを片付けている。
こちらを見て笑顔で会釈した。
隆二「あ、すみません💦」
臣「ありがとう」
臣と隆二も会釈して返した。
バギーを押して先に歩き始めた廉は気を利かせているのか、ほとんど後ろを振り返らない。
たまに隆臣と、バギーの中からはりおがひょこっと後ろを振り返る。
その時の笑顔は、なんとも例えようがない。
隆臣に至っては笑顔と言うよりも、ニタニタしている。
隆二「たっくんって、あんな顔もするんだね 笑」
臣「だんだん表情豊かになるのは、大人の階段を登ってる証拠だな」
隆二「そだね」
新緑が目に眩しく、風は肌に心地よい。
隆二「臣、手ェ繋ごうか?」
臣「お、おう💦」
隆二「なにガラにもなく緊張してんの 笑」
「ほら、ギュッて握り返して」
臣「こうか?」
隆二「強すぎ。もっと優しくだよ」
臣「こう❓」
隆二「うん、いい感じ」
臣「嫁、愛してるよ」
隆二「うん、俺もだよ」
臣「嫁って言ったのに、怒んないの?」
隆二「臣の嫁なら本望だから、怒ったりしないよ。安心しな」
臣「隆二…」
臣は自分が送った隆二の薬指のリングにスっと口づけた。
臣「ちゅ…」
隆二「いきなり、そこかい」
臣「しょっぺぇ…」
隆二「ポテトのお塩がついたのかも」
臣「…来週からしばらく遠征だろ?」
隆二「寂しい?」
臣「今は平気だよ」
隆二「そらそーだ。すぐ隣にいるもん」
臣「…寂しくなったら」
「すぐ会いに行くから」
隆二「うん。待ってるよ」
臣はまた、この二人だけの貴重な時間を惜しむように、隆二のリングにくちびるをあてた。
臣「ツアーが終わったら」
「また、マック行こうな」
~完~
いつもご愛読ありがとうございます。
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