『W旦那+(プラス)』第108話 三代目妄想劇場
直己が東京駅に着くと、指定した待ち合わせ場所にSWAYの姿があった。
「姿を現したんだって?」
開口一番直己がSWAYに尋ねた。
SWAY「お疲れっす!ここじゃなんですから、俺行きつけのカフェ行きましょうか」
直己「そうだな」
『S.A.K.U.R.A.』の収録以来、何か奇妙な体験をする度に、SWAYは直己に会って相談を重ねてきた。
今回の相手は今まで遭遇した物とは、
スケールが違った。
一度目にしたら忘れることができない醜悪な容姿…。
SWAYは生まれて初めて、悍(おぞ)ましいとしか表現できない物体と遭遇してしまった。
しかし、どうやらあの悍ましい物体は、自分の存在を嫌がっている…
そう本能的に感じてからは、やけに冷静な自分がいた。
カフェの隅で向かい合わせに座り、直己が尋ねた。
「確かに逃げて行ったんだな?」
SWAY「ええ、空高く飛び去っていくのをこの目で確かに」
直己「その悪魔が臣の体を通り抜ける瞬間は見てないのか?」
SWAY「俺が駆けつけた時には、登坂くんはもう気を失ってて、その瞬間は見ていません」
直己「隆二が言ってたその悪魔の特徴って、すぐに見れる?」
SWAY「すぐに出します」
SWAYはスマホを取り出し、西洋の悪魔の説明が書いてあるサイトを開けた。
夢魔(むま)は、古代ローマ神話とキリスト教の悪魔の一つ。淫魔ともいう。夢の中に現れて性交を行うとされる下級の悪魔。
夢魔のうち、男性型のインキュバスは睡眠中の女性を襲い精液を注ぎ込み、悪魔の子を妊娠させる。
女性型の夢魔は、サキュバスといい、睡眠中の男性を襲い、誘惑して精液を奪う。
(中略)
一説にはインキュバスとサキュバスは同一の存在であり、自身に生殖能力が無いため、人間男性の精液を奪って人間女性を妊娠させ、繁殖しているとされる。
ヨーロッパのある地方では「枕元に牛乳があると、サキュバスはそれを精液と間違えて持ってゆく」と言われ、悪魔よけに小皿一杯の牛乳を枕元に置いて眠るという風習があった。
(出典:Wikipedia)
直己「あ、ここだ!俺が引っかかってんのはここ…」
『一説にはインキュバスとサキュバスは同一の存在であり…』
直己「SWAYが見た時は確かに女性型の悪魔だったんだな?」
SWAY「ええ、女性特有のシンボルが剥き出しになってました」
直己「その時、隆二達を襲ったのは女性型の悪魔…」
SWAY「はい…」
直己「…そして、目が覚めた臣にSWAYが感じた違和感…」
SWAY「目を覚ましてからしばらくはいつもの登坂くんだったのに…」
直己「…その悪魔は分離するんだろうか?」
SWAY「…だとしたら…厄介ですね」
End
2コメント
2018.01.09 07:42
2018.01.09 06:54