『W旦那+(プラス)』第102話 三代目妄想劇場

翌日…





理愛が店に立っている。





昼休みにやってくるテイクアウトの行列をさばき終わり、休憩中の札を小窓に下げ、入り口の鍵を中から閉めた。




エプロンを外し、カウンターの上に置く。




椅子に腰掛け、自分のスマホを取り出した。




理愛は手慣れた様子で、プッシュする。




『67676969  676769』





2回ほどコールして、すぐに相手が出た。




「どういうつもり?なぜ不在中に来てるの?」




理愛が唐突に切り出した。




相手の声は聴こえない。




「私が気づかないとでも?寝室に痕跡があったわ」




「そういう問題じゃないでしょ?」




「人に危害を加えない下等な種類でも、もしもの事があったらどうするつもり?」




「…5年も待って、ここで事を急(せ)いて、本来の計画が頓挫することにでもなったら…」




「私?私は剛典さんと外にいて…」




「Tはまだ無理です。外では採取できません…」




「え?言ってる意味がわからないわ」




「心変わり?…それは…言いがかりよ…」




「その件についてはまた様子を見て、店で話しましょう」




「…厄介な人が出入りしてるし、以前とは状況が変わったので、次いつになるかは分からないけど…」




「採取した分では、足りないのね?」





「ええ…多めに最良のものを…」






そう言うと理愛は通話を切り、スマホをカウンターへ置いた。







End












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