『W旦那+(プラス)』第89話 三代目妄想劇場
臣と隆二は急ごしらえのゲストルームに設置したツインベットで休んだ。
あの夜の事は忘れたかの様に振舞っているが、お互いに意識はしている。
5年ぶりに交わした熱い口づけは、
ずっと隆二の心を揺さぶり続けていた。
しばらくは平穏な日が続いた。
理愛は昼間店に行き、夜は臣か隆二が迎えに行き自宅へ戻る。
直己が訪ねてくると、ベッドルームに入り、静かに休んでいるようだった。
この同居生活が始まってからは、
「キスして欲しい」とか「抱いて欲しい」というアクションもしてこなくなった。
隆二「最近すっかり元気がなくなったみたいで、俺達可哀想な事してるんじゃないかな?」
臣「がんちゃんが訪ねてきた時は、そうでもなさそうだよ」
一週間に一度、剛典が理愛を訪ねてやって来た。
その日だけはベッドルームから剛典の話し声と共に、理愛の笑い声がかすかに聞こえてきた。
隆二(ホントだ…理愛ちゃん、笑ってる)
リビングでベッドルームの方を見ながら臣が言う。
臣「がんちゃんといる時は普通に楽しそうだな」
隆二「だね」
隆二「直己さん、粗茶です」
リビングに正座をしている直己の前に、隆二は畏(かしこ)まって熱いお茶を置いた。
直己「おっ…サンキュ!」
直己は足を崩し、胡座をかいてお茶を飲む。
隆二「あー良かった!いつものリーダーだ」
臣「ん?どういう意味?」
隆二「いや…直己さんって、もう心頭滅却し過ぎて、何も飲み食いしなくっても生きていけるようになったのかって…」
直己「俺は仙人じゃないよ」
臣「すいません…」
隆二「へへっ…」
直己「そういや名古屋でロケがあった時、あの子も一緒に来てたけど、がんちゃんにだけは心を許している様だった」
臣「やっぱり…」
End
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2017.12.13 14:13
2017.12.13 14:04
2017.12.13 13:39