『憂鬱⑩』(続•臣隆妄想劇場75)ショートバージョン
隆二「なに?見せたい物って」
臣は撮影現場近くの広場に設置された巨大なクリスマスツリーの前に隆二を連れてきた。
隆二「わーっ…そっか、もうすぐクリスマスだね」
ブルーの光を放つクリスマスツリーは、恋人達をロマンティックな気分にさせる。
空から粉雪が舞い始めた。
隆二「あ…雪だ…」
隆二の手の平で、白い雪が儚く溶けた。
臣は隆二のマスクを少し下げ、上唇だけ覗かせた。
「おみ…?」
「やっぱ外だから、少しセーブ…」
そう言うと、自分のマスクも少し下にずらし、隆二が愛してやまない、厚みのある唇が顔を出した。
マスクから出た部分を軽く重ね合う二人。
いつものように深いキスができないことが、余計に感情を高める。
臣は離れぎわに「ちゅっ」と大きく音を立てた。
「ワザと?」
「うん…音だけでも…ね」
唯一外に出ている臣の目が優しく笑っている。
隆二はたまらなくなり、正面から臣を抱き寄せた。
「そんなにキツく抱きしめると、息ができないよ…」
ちっとも苦しくなさそうに、明るい声で臣が囁く。
美しいクリスマスツリーと二人の上に、真っ白な粉雪が舞い続けた。
完
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2017.12.06 13:40
2017.12.06 13:35
2017.12.06 10:35