『憂鬱④』(続•臣隆妄想劇場69)ショートバージョン

臣は何も言わず、ボーッとTVを見ている。



隆二(今日はただいまのチューしろとも、髪洗ってとも言ってこなかった)



新しいMVの台本が来てから、憂鬱そうな顔をしているのは分かっていた。



いつもはクールで、特に緊張もせず、撮影でもなんでも淡々とこなす臣だが、



それは付き合う前の話で、今は状況が異なる。



TVが面白くなかったのか、臣はリモコンをポチッと押し、TVを消した。



隆二(あ…M–1見てたのに、消しやがった…)



ドライヤーを止め、臣愛用のリリックスピーカーを取り、臣の前に差し出す。



隆二「はい、臣のオモチャ…」



隆二はそう言うなりハッとして、



(しまった!つい、いらん事言っちゃった…)



臣はじっとしている。



臣の背後で反論があるかと構えていると、臣は何も言わず、ゆっくりスピーカーを弄(いじ)りだした。



隆二(うわー…相当落ちてるよ、こいつ…)



(回りくどい言い方してもダメなやつだな)



隆二は腹を決めた。



続く




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