『W旦那+(プラス)』第82話 三代目妄想劇場
翌日から臣のマンションで、奇妙な同居生活が始まった。
サキュバスに対抗する手段が見つかるまでは、今までの様な日替わりの生活では、何かあった時に危険すぎる。
臣と隆二がいつも一緒なら、なんとか回避する方法もあるんじゃないか?
二人でよく話し合って出した緊急の措置だった。
理愛本人が、古(いにしえ)の悪魔でないことは立証された。
しかし、操られているにしても、本人に直接聞くには、かなりの抵抗があった。
まずは、悪魔除けのために、臣と隆二が休むように急ごしらえしたゲストルームに、毎日新鮮な牛乳をSETした。
理愛が休むベッドルームの窓は施錠し、鍵は二人が管理した。
臣「鍵を掛けたところで、相手は煙でやってくるから、全く意味ないかも?」
理愛には、悪い物に憑かれたみたいなので、色々対策を取っていると伝えた。
剛典に対しては、しばらく理愛とデートさせる事が出来なくなったと伝えてある。
どうしても会いたい時は、剛典の方から臣のマンションに通う分にはOKを出した。
対抗手段が見つかった時に、サキュバスを誘(おびき)寄せるために、剛典には一役担って貰う必要があるので、現時点での状況は一切伝えていない。
そして…
もう一つ解決すべき事があった。
理愛のスマホから送信されるあの暗号の解読だ。
隆二「理愛ちゃん、ちょっと確認したい事があるから、スマホ貸してもらってもいいかな?」
理愛「…なにを確認するんですか?」
隆二「ん…っと、メールだけ見せて欲しいんだけど…」
理愛はしばらく考えているようだったが、「どうぞ」と言ってスマホを隆二に渡した。
さっそくメールの送信履歴を確認する。
送・受信ともに0件。
下書きで保存してあるのが一件あった。
開いてみると、奇妙な数字が並んでいた。
『ーー67676969 ーー676769』
隆二「理愛ちゃん、この数字打った覚えはある?」
理愛「いえ…覚えてません」
隆二「そっか…」
隆二(サキュバスっていう、あのオバケを呼び出す隠語みたいなものか?)
(オバケがスマホでやりとり?考えられないな…)
隆二「ごめんね、ありがとう」
理愛「……」
End
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