『W旦那+(プラス)』第19話 (初デート)三代目妄想劇場

「理愛ちゃん、初デートの記念で何かプレゼントしたいんだけど…」

夕食を食べてから、名古屋にあるサマンサタバサに理愛を連れてやってきた。


二人共ニット帽を被り、剛典は色の濃いサングラスを、理愛も色付きで大きめのサングラスをかけている。


どうやら剛典に気づいている客はいない。


「あの…私、その…なんてお呼びすれば…」


「そんな敬語使わなくてもいいよ」


「俺は名字が岩田だから、みんな"がんちゃん"て呼ぶけど…」


「それだったら、ウチの親父も同じ"がんちゃん"だもんね。」


理愛は薄く笑って聞いている。


店内の明るい照明に照らされ、透明感のある肌が更に輝きを増すよう…


その理愛を正面から見て、少し眩しささえ感じながら、


「理愛ちゃんには、剛典って呼んで欲しいな」


「…そんな…呼び捨てになんてできません」


「呼び捨てにしろなんて、言ってないよ」


目を細めて、爽やかに笑う剛典。


「そうだね…剛典さんでもいいけど…」


「剛典さん…」


少し恥ずかしそうにしている理愛。


(可愛い…)


「理愛ちゃん、どれか欲しいもの言ってみて。遠慮はしないでいいからね!」


繋いだ手をぎゅっと握って、はしゃいでいるように左右に揺らす剛典。


理愛はゆっくりサングラスを外し、
吸い込まれそうな深く青い瞳で、アクセサリーの並んだショーケースを見ている。


すると、ある商品の前で細い指先を優雅に上げ、


「これが欲しいです」と指差す。


サマンサティアラのプチネックレス。


ピンクのダイヤが可愛らしく輝いている。


「つけてみよっか?」


店員を呼び、ショーケースから出してもらったネックレスを、理愛の後ろに回って、
剛典がつけてあげる。


鏡に映る二人の顔。


珍しく興味を持ったような笑顔を見せ、
「可愛い…」と理愛が言う。


すぐ後ろで、理愛の腰に手を回して、
肩越しに頬をくっつけて、剛典も微笑む。


「じゃ、これに決まり」


店員は入店時の二人を見て、
初秋にしてはニット帽とサングラスという、
比較的着込んだカップルに、不思議な感じを抱いていたが、


今、輝くような二人の笑顔を見ていると、
なんとも言えない幸せな気分に包まれていた。


理愛はそのままネックレスを身につけ、剛典と手を繋ぎ店を後にする。


美男美女の上、ラブラブで羨ましいと溜息をつきながら、店員が2名笑顔で見送っていた。



End

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