『W旦那+(プラス)』第5話 (隆二のマンション)三代目妄想劇場
隆二の住む高層マンション。
理愛は、よくベランダから夜空を眺めている。
秋の気配を感じる夜、随分と肌寒くなってきた。
部屋の中から、ベランダにいる線の細い理愛の後ろ姿を見ていると、とても寒そうな印象を受ける。
押入れから隆二お気に入りの、白いモコモコ毛布を出し、ベランダにいる理愛に近づく。
後ろから毛布ごと理愛を包み込む隆二。
「理愛ちゃんってさ、かぐや姫だったりして…」
隆二が甘い声で、耳元で囁く。
理愛「……」
隆二「月が恋しい?」
冗談まじりに聞く隆二に、
「はい…とても」
と、理愛が答えた。
しばらく沈黙があった。
いま、冗談で言ったのかな?
そんなことを思っていると急に愛しくなってきて、
強く理愛を抱きしめた。
「旦那さま…」
理愛は、店では「オーナー」
臣の前では「隆二さん」
自宅に帰って二人っきりになると、
「旦那さま」と呼ぶ。
誰が教えた訳でもないのに、なぜかそう呼ぶようになった。
「隆二でいいよ。理愛ちゃん…」
「そんな…呼び捨てなんて、できません」
隆二は笑って、
「呼び捨てにしろなんて言ってないよ」
「えっ?」
「隆二さんでいいから、言ってみて…」
「隆二さん…」
「なに?理愛ちゃん…」
「私のことが好きですか?」
突然の理愛の問いかけに、一瞬目を丸くした隆二だったが、
すぐに優しい笑顔になり、
「うん…とても」と言った。
「理愛…こっち向いて」
「はい、隆二さん…」
優しく唇を重ねる隆二。
一日置きに訪れる。
…それは隆二にとって、とても安らぐ癒しの時間だった。
End
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