『温泉旅行②』(続・臣隆妄想劇場39)ショートバージョン
伊豆へ向かうスーパービュー踊り子号の車中で、隆二は口にヘアゴムをくわえ、臣のチョンマゲを束ねている。
隆二「ん、いいよん」
臣「サンキュー」
隆二「ヘアメイクさんがやるのと、どっちがお気に入り?」
臣は隆二を見ないで、スマホを弄(いじ)りながら、
臣「ん?お前の方…」と言った。
隆二「ふーん、そう」
隆二は満足げに微笑んだ。
臣が「ん」と言って、イヤホンのLのマークが入った方を隆二に渡す。
二人で一本のイヤホンをシェアして、音楽を聴いている。
東京を出発した時から、おかきやら豆をつまみながら、缶ビールで一杯やってる。
隆二「お豆ちゃん♡」
豆をつまみ、ポリポリといい音を立てる。
「あー」と口を開ける臣。
隆二は豆をとって、臣の口へ入れてやる。
臣は缶ビールを一本飲み終えて、缶をくしゃっと潰した。
隆二「もう一本飲む?」
臣「飲む♡」
隆二「今夜はご馳走だから、あまり飲みすぎちゃったら、夜食えなくなるよ」
そう言いつつ、隆二も一本目を飲み干した。
臣「全然楽勝だと思うけど…」
隆二「ほどほどにね」
臣「ほーーーい」
二人同時にプシュッといい音をさせて缶ビールを開け、ゴクゴクプハーッとやった。
隆二は車窓から移りゆく景色を見ながら、
「いい天気だね」と、呟(つぶ)いた。
臣「気持ちいいな」
臣「次何聴く?」
隆二「臣のセカンド聴こうよ」
臣「ん!ポチッとな」
臣は二本目を飲み切って何も言わず、隆二の右手を握り、膝を組んで目を閉じた。
隆二(ありゃ…右手の自由が奪われた…)
隆二は臣の左耳の近くで、
「甘えんぼはどっちやねん」と、関西弁で囁いた。
隆二(イヤホンしてるから聴こえてないか…)
(一号車の一番前の席だし、二人共サングラス掛けてるからバレないと思うけど…)
隆二は左手でビールを飲み、一旦缶を置いてからおつまみを食べる。
隆二(左手フル回転で忙しーわ…)
臣の寝顔を見ながら、ポリポリが止まらなかった。
続く
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