『別離②』(続・臣隆妄想劇場21)
臣を見送ったその日、
夕方から天気は一変し、
激しい雷雨に見舞われていた。
隆二は、臣と同居するマンションで、
灯りもつけずに、ソファーに片膝を抱えて座り、臣のシングル曲を聴いている。
臣愛用のリリックスピーカーが、
暗闇に怪しい光を放ち、
「WASTED LOVE」の歌詞が浮かんでは消える。
《その手に触れた あの時から 言葉もなく 夢中になった》
《ゆっくり 激しく 抱きしめ 全て忘れ 夜に溶けていく》
窓を叩く激しい雨音と、
臣の哀愁漂う美しい歌声が混じり、
一層物悲しさを増幅させる。
歌が終わり静寂のなか、雨音だけが聞こえる。
隆二は、左手で顔を覆いつくし、
孤独を噛みしめていた…
End
0コメント