『W旦那+(プラス)』第74話 三代目妄想劇場
「隆二!無理すんなって」
臣は後を追い、隆二の手首を掴んだ。
「離せよ!」
隆二は振り返り臣を睨んだ。
「うっわ…こぇー顔して…」
「元々こんな顔だよ!」
「アトラクションの中じゃ、俺にひっついて離れなかったくせに」
「……」
「あんな隆二だったら、俺何があっても手放さなかっただろな」
「本気(マジ)で言ってんのか?」
「俺はいつだってマジだよ」
隆二の手首を掴んだまま見つめ合う二人。
しばらくして冷たい風が吹き抜け、すぐ近くの植え込みでガサガサと音がした。
隆二「えっ?何かいる?」
臣は「しっ!」っと人差し指を立てる。
すぐに静かになったが、遠くで奇妙な鳥の鳴き声がする。
空の三日月に雲がかかる。
臣「なんかヤバくないか?」
隆二「さっきから震えが止まんない…」
臣は隆二の肩をしっかり抱き寄せ、
「ほら、早く帰ろ」と言って歩き出した。
隆二(茶化してるかと思えば、優しくする…こいつ変わってないよな)
隆二は仕方なく臣に従った。
背中は氷のように冷たかったが、臣の温もりで少しづつ暖かくなっていった。
ホテルの前から二人が去った数秒後、同じ場所に長身の人影が立った。
(確かこの辺りで邪悪な気を感じたんだが…)
その長身の男は、寄り添いながら遠くを行く二人を見て呟いた。
「あれは…臣と隆二…」
鋭い眼光で二人の後ろ姿を見つめる人物。
三代目のリーダー、小林直己だった。
End
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2017.11.25 11:50
2017.11.25 11:41
2017.11.25 11:25