『逆転②』(続・臣隆妄想劇場57)ショートバージョン
「臣…もう眠っていいよ、俺もいっかいシャワーしてくるから」
臣は半分目を開けて隆二を見る。
(ほんとだ…汗が光ってる)
臣「あのさ」
隆二「なに?」
臣は上半身を起こして隆二を引き寄せる。
隆二「汗かいてるよ」
臣「構うもんか…」
臣は座ったまま隆二を抱きしめる。
確かに体が熱くなっていて、上着も汗で濡れている。
臣の左耳に触れる髪も少し濡れている。
臣「いっぱい汗かいて…」
隆二「愛しくなった?」
臣「バカ…」
臣「…キスしたい」
隆二「今はやめた方がいい」
いつもうつ伏せになって寝る臣が、仰向けになって寝る時がある。
月に数回来るか来ないかの『逆転』の夜だ。
臣「キスしたいから、やっぱ俺も風呂入る」
隆二「なんかそう言うと思った」
隆二「歯磨いてから風呂入るから先行ってて」
臣「お湯入ってんの?」
隆二「うん…いい頃合いだよ」
臣はゆっくり起き上がり、バスルームへ向かった。
掛け布団を整えながら、隆二は臣の後ろ姿を見てニヤリと笑った。
臣「うわっ❗なんだこれ?」
隆二は洗面所で歯磨きしながら「へへへ」と笑う。
臣「どーしたの、これ❓買ってきたの?」
隆二「もう服脱いだんでしょ?早くお湯に浸からないと風邪引いちゃうよ」
洗面所から声をかける。
静かになったのでバスルームをそっと覗くと、
湯船にびっしり敷き詰めたディズニーキャラクターに埋もれて、臣が湯に浸かっている。
「激写‼」
隆二はすぐにスマホのシャッターを押す。
臣「おま…💦」
隆二はスマホの画像を眺め、
「う~ん!インスタ映えする~‼我ながら力作❤」
ミッキーやドナルドに埋め尽くされた中央で、
怪訝そうな顔をした臣が写っている。
隆二はプッと吹き出し、
「やべ…マジインスタ上げよ」
「こらっ‼スマホよこせっ💢」
ザバーッと勢いよく臣が立ち上がる。
「やだね‼渡すもんか!」
隆二はさっさとバスルームから出ていった。
「くそっ…先にやられた…」
臣は立ったまま恨めしそうに、浴槽の脇にあるアヒルの大群に目をやる。
追うのを諦め、またディズニーキャラクターに囲まれ、湯に浸かる。
「やることが子供なんだよ…ったく」
目の前のミッキーを手に取り、じっと見つめ、
(まぁ…気持ち良かったし…許してやっか…)
いつも受け身の隆二が、一生懸命尽くしてくれる『逆転』の日。
臣はまんざらでも無さそうな笑みを浮かべ、目をつむり、湯船に肩まで浸かった。
隆二はバスルームの扉から、ひょこっと顔を出して言った。
「あれ?もう終わり?…つまんねーの」
完
Ameba owndオリジナルストーリーです。
2コメント
2017.11.25 14:21
2017.11.25 14:11