『逆転①』(続・臣隆妄想劇場56)ショートバージョン
「かぷ」
深夜、夢を見ていた臣の唇を塞ぐものがあった。
「ひっ!」
びっくりして目を開けると、隆二がニコニコして覗き込んでいる。
「…びっくりした💧…おれ泥棒に唇
奪われたのかと…」
臣は胸を押さえて深呼吸する。
「どんな泥棒だよ。そんなの聞いたことねぇし…」
「ハート泥棒」
「……」
「山田くーん‼︎登坂さんに座布団一枚持ってきて!」
寝室のドアに向かって隆二が叫んだ。
「アホか…」
「笑いのセンス解れよ」
「いつ帰ったの?」
「ん?1時間ほど前」
「遅かったね」
「うん…直己さんと軽く一杯飲んできた」
「そっか…」
隆二は臣の髪を触り、
「髪は?自分で洗ったの?」
「うん」
「LINEするの遅くなったから、悪かったね」
枕の横に置いてあるスマホをチェックする臣。
「ほんとだ…来てる」
「起こしてくれたらいいのに…」
「いつもうつ伏せで、シーツにくるまって寝てるのに、今日は上向いて無防備だったから、つい…」
「つい?かぶりつきたくなった?」
「うん」
「しばらく横顔見てたんだけどね。臣の唇見てたら、つい…」
「そそられた?」
隆二は臣の唇を指でなぞり、
「この唇はそそるね」
上を向いてる臣の上に被さるように、両手であたまを軽く挟み、
隆二がまた「かぷっ」と臣の唇にかぶりつく。
さっきまで夢の中にいたので、臣は無抵抗で、隆二だけが動いている。
隆二は大好きな臣の厚い唇に舌を這わせ、
音も立てず蕩けそうな口づけを続けている。
たまらず臣の声が漏れる。
「んん…」
(あー…ヤベぇ、溶けそう…)
隆二の柔らかい舌が唇の隙間からやってくる。
(もう…今日はおまかせ…)
臣は両手をベッドに投げ出し、何もアクションを起こさない。
時々やってくる、隆二先行の逆転日は、臣はほとんどなにもしない。
隆二のキスの手順もわかっている。
(ヤベ…わかっててもドキドキする…)
十分絡んだあと、臣の舌を軽く吸い、
そのまま隆二が自分の方へ優しく引っ張る。
(あ…)
限界を感じた頃にタイミング良く隆二が、「ちゅ」と小さく音を立て離れる。
(あ〜…溶けた…)
眉を寄せ、なんとも言えない表情をする臣。
「隆二…」
臣が隆二の背中に手を回そうとすると、
「臣、疲れてるんだろ?寝てていいよ」
確かに夢見るくらい熟睡していたから、頭がぼーっとしている。
隆二が目の前からいなくなり、臣の足元からゴソゴソと布団の中に入ってきた。
しばらく人の形にこんもりしていたが、
「やっぱ暑い」
隆二はそう言うと、足元に掛けてある布団を折りたたみ、
臣の腹の上に二重にして乗っけた。
隆二の姿は完全に見えなくなった。
臣の敏感な部分に触れられる感覚があり、ビクッと体が反応する。
「隆二…」
思わず名を呼んでしまう。
不器用だけど一生懸命な動きは、最愛のツレの性格そのものだ。
「あ…りゅうじ?」
手を伸ばし相方を探すが、掛け布団が邪魔して見ることができない。
一瞬、体を貫くような快感が走り、
「うっ…」臣は声を漏らす。
宙を掴もうとしていた臣の右手を隆二が掴んだ。
(ああ〜……)
しばらくして、二重になった掛け布団の向こうから、隆二がひょっこり顔を出す。
「ヤベー…汗だくだ…」
続く
Ameba owndオリジナルストーリーです。
6コメント
2017.11.25 14:14
2017.11.25 14:05
2017.11.24 03:48