『W旦那+(プラス)』第71話 三代目妄想劇場
剛典の声が聞こえなくなった。
意識がなくなったのか…眠ったのか?
暗闇に、白く光る理愛の姿がはっきり見える。
バスローブの中からスマホを取り出し、物凄い速度でタッチしている。
今度はスマホを雑にベッドの上に放り投げ、ベッドから立ち上がり、窓へ向かう。
理愛が窓を数センチ開けた瞬間、暗闇より更に真っ黒な煙のような物が、窓の隙間から室内に入り込んできた。
理愛はぼーっとその煙を見ている。
理愛の前でその煙は、大きな人間程の大きさの塊になった。
よく見ているとそれは、得体の知れない動物のような形をしていて、
口の様なところから、長い舌らしき物を出している。
その物体はベッドに横たわる剛典ではなく、
ベッドの横にあるサイドボード上の花瓶の前に移動した。
長い舌のような物を花瓶の中に入れ、聞くもおぞましい卑猥な音を立てて、中の水を吸い始めた。
鍵穴からその様子を目の当たりにし、ゾッとする臣と隆二。
理愛は宙を見つめ、ぼーっと佇んでいる。
隆二(理愛ちゃん…)
ズズッ…
最後の一滴まで吸い尽くしたような音がして、黒い塊はまた煙に形を変え、窓の隙間から去っていった。
End
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