『オフの朝』(続・臣隆妄想劇場49)ショートバージョン
「愛してるよ」
伊豆の宿で聞いた臣のあの甘い言葉は、隆二の心に深く刻まれた。
思い出す度に、嬉しくて、少し切なくて、愛しさで胸がいっぱいになった。
オフの朝、隆二は早くに目が覚め、隣で寝ている臣の顔をみている。
真っ白なシーツにくるまって、幸せそうな顔をしている。
凛々しくて濃い眉毛も、長い睫毛も、形の良い鼻も、全てが愛しい。
臣はいつも隆二の唇が好きだと言ってるが、隆二も負けない位に、臣の柔らかくて厚みがある唇が好きだ。
まだ同棲したての頃、いつもこの唇で隆二の髭ごとすっぽり包み込むキスをされていた。
その度に体が熱くなり、何とも言えない幸福感に満たされていた。
臣は耳に触れられるのを極端に嫌がるけど、実は一番感じやすいとこなんじゃ?
いつか耳だけで落としてやろうと企んでもいる。
(寝起きの画像欲しいな…)
臣はシーツに丸くくるまって、顔だけ外に出している。
(このまま撮ったら、てるてる坊主みたいだし…)
(優しく起こしてみて、起きた瞬間を激写してみるか…)
シーツをそっと引っ張ってみる。
手でしっかり握ったままくるまっているので、ちょっとやそっとじゃ取れない。
(ちょっとだけ手を緩めて欲しいんだけど…)
臣は全身シーツにくるまっているが、下の方を見ると、足首から下は外に出ている。
隆二は一瞬ニヤリと笑って、臣の足裏をコショコショしてみる。
臣は眉間にシワを寄せて、「んーっ…」と言って大きく左に寝返りを打った。
シーツがほどけて顔の右半分が外に出た。
(しめしめ…)
隆二は臣の右耳に口を近づけ、甘ったるい声で囁く。
「お…み」
ビクッと臣が反応した。
「んん〜っ…」
更にしかめっ面をして、ベッドにうつ伏せになる。
隆二は臣の右側に座っていたが、ベッドの上に立ち上がり、寝ている臣の上をヒョイっと跨いで左側に移動した。
唯一見えている右耳にまた口を近づけて囁いてみる。
「お〜み…」
またビクッとして臣は、
「あーっ…もうっ!…こしょばい…やめぇ…」
と言って、右耳を手で擦っている。
「へへへへ…」
隆二は楽しくなってきて、つい笑い声を立ててしまう。
臣は声に気づき、眠そうに半分だけ目を開けて、隣にいる隆二を見る。
隆二「おはよっ!」
臣「もうっ…ヒゲこしょばいからやめー…」
またうつ伏せになり、シーツにくるまろうとする。
隆二(あー…楽し)
「臣!ちょっとだけ上向いて。寝起きの写メ撮りたいから…」
臣「あ?マジ…訳ワカンねぇし…どういう趣向や…」
隆二(関西弁になっとるがな…)
隆二「いーじゃん!一枚だけ撮らせて。壁紙にすっから」
臣「寝起きなんか、やだよ…もちっと寝かせて…」
臣はシーツの中でもぞもぞしている。
隆二はシーツの上から、臣の上に馬乗りになり、半ば強引に、臣の首から上だけシーツを剥ぎ取る。
臣は迷惑そうな顔をして、「あにすんだよ…」
隆二(しむけんみたいになっとるがな…)
隆二「一枚だけ!いいでしょ?後で飛びっきりのモーニングキスしてやっから」
「もーっ…何フェチだよ」
臣はそう呟いて手で顔の半分を隠し、照れ臭そうに笑顔を見せた。
(おっ⁉︎シャッターチャンス♪)
隆二は臣の上に乗っかったまま、手にしたスマホのシャッターを押す。
カシャ💥
撮ってすぐに画像をチェックする。
(おっ!完ぺき‼︎)
ポチッとスマホの壁紙に設定した。
臣に乗っかったままで壁紙を眺めていると、臣の手が伸びてきてスマホを取り上げ、サイドテーブルに置いた。
「へ?」
隆二の笑顔が凍りつく。
臣は悪そうにニヤッと笑い、隆二をシーツの中に引きずり込んだ。
「わぁーつ!待て待て!!…臣、まだ寝るんでしょ?」
こんどは臣が隆二の上に馬乗りになり、隆二の顔を少し横に倒して、耳の後ろをペロリと舐めた。
「や…やめろ〜!…おみ…ギブギブ!」
臣は構わず、唇と舌で隆二を攻める。
「耳はやめてって‼︎…おみっ…ギ〜ブ…」
隆二に激しい攻撃を続けながら、マンションの壁が防音で良かったとホッとする臣だった。
「ギーーーブ…ううう」
完
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20コメント
2017.11.17 23:37
2017.11.17 23:33
2017.11.17 23:31