『W旦那+(プラス)』 三代目妄想劇場 番外編(小さな憧れ33)
子供部屋に向かう途中、隆二は廊下の壁に手を這わせた。
無意識にそこを手繰り当てる。
あの魔物の襲来によって、壊れたドアの衝撃でできた壁の傷。
クロスで見事に修復してあるが、隆二にはそこがわかる。
「あ、ここだ」
「…臣、来て」
心の奥底から不意をついて出た願望に、驚いたのは隆二自身だ。
ハッとして壁から手を離した。
「誰を呼んだの?今…」
欲望をかき消すように、ブンブンと首を
横に振った。
子供部屋の方へ体を向けると、ドアの前に半べそをかいた乃愛が立っている。
「乃愛!?どうしたの?怖い夢でも見た?」
「ふぇ~ん💦」
「るーたん、抱っこぉ💦」
顔をくしゃくしゃにして泣きながら隆二に駆け寄る。
隆二は片膝をつき、まるで王子の様に小さなお姫さまを抱きしめた。
つづく
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