『W旦那+(プラス)』 三代目妄想劇場 番外編(小さな憧れ②)
子供部屋に入ると、ベビーベッドでりおは、長くてくるんと巻いた睫毛を伏せてすやすや寝ていた。
「あれれ?りお、寝てるね」
「ミュー」
隆二のくるぶしにさわさわと的割りつくしなやかな尻尾。
「ニャーにゃが鳴いたのか、よしよし」
すっかり大きくなった登坂家のマスコット"ニャーにゃ"。
臣に言わせれば、離れている間にすっかり雌猫らしくなったそうだ。
「雌猫だなんて…エロい呼び方だねぇ、ニャーにゃ」
「ミュー」
隆二は優しく猫を抱き上げた。
「鳴き声は子猫の時からちっとも変わってない」
「babyの泣き声と聞き間違えちゃったよ」
「グルルル…」
猫は気持ち良さげに隆二の腕の中で喉を鳴らした。
「りお、ねんねしてるし、お兄ちゃんお風呂だし」
「パーパと一緒にリビング行ってようね、ニャーにゃ」
隆二は猫のてっぺんにチュッと軽くキスをすると、そのまま静かに子供部屋のドアを閉めた。
ニャーにゃのお気に入りバスケットや、キャットタワーは各部屋にあって、
その日の気分で過ごしている。
猫を大切そうに抱えてリビングに入ってきた隆二を見て、また乃愛が小さくぼやいた。
「るーたんを呼んで鳴いたの、ニャーにゃだったのね」
「ライバル多過ぎやしない?ねぇ、パパたん」
「アハハハ…返事に困るなぁ💦」
「ママはいいね❗ライバルがいなくて」
「そんなことないわ」
「そうだよ。乃愛が目にしないだけで、岩ちゃんに恋してる女性って日本全国に沢山いるんだよ」
「でーも、マーマが射止めたんでしょ?」
「そうだね!その通りだ」
「隆二さん、俺のことはそれくらいに…」
当の小さなレディは止まらない。
「乃愛のマーマみたくね‼️美人でパーフェクトな人が相手なら乃愛も諦めるの」
「うん…」
「でも、乃愛のライバルは超イケてるメンズでしょ?勝ち目ないじゃん😠」
「ぜーんぜん報われないわ」
「よくそんな難しい言葉知ってるね!
おしゃまさん」
隆二はなるべく乃愛を刺激しないように、猫を撫でながら黙っている。
「じゃあ、じゃあね‼️パパたんが乃愛と結婚してくれる?そしたらるーたん諦めるよ」
「ひぇぇ💦理愛、ヘルプ‼️」
理愛はまるで他人事のようにコロコロと笑うだけだ。
「そんなの無理でしょ?だからぁ、ライバル多くても、乃愛はるーたんにまっしぐらよ‼️」
「片思いほど、燃えるのよね~‼️」
(ヘルプぅ💦臣ぃ)
隆二は心の中で相方の名を呼んだ。
「助けてぇ‼️臣さん」
思わずその名を口にしてしまい、剛典は慌てて自分の口を塞いだ。
「パパたん、今なんてったの?」
「な、何でもない💦」
つづく
3コメント
2021.08.28 11:40
2021.08.28 11:38
2021.06.02 05:15