『W旦那+(プラス)』 三代目妄想劇場 番外編(新生75)
隆臣も寝かしつけてから、臣が先に風呂に入った。
風呂から出ると、リビングのソファーで隆二がグラスを傾けている。
濡れた髪をバスタオルでがしがし拭きながら、臣は冷えた缶ビールのプルトップを開け、
隆二が手にした瓶に目を向けた。
「お前、明日オフなの?そんなキツい酒飲んで…」
「夜中に音録りだから平気だよ」
「電子タバコも酒もほどほどにな、喉に良くねぇぞ」
「タバコ?…俺、吸ってたっけ?」
「ウソ…覚えてないの?」
「あ〜…吸ってたかもね」
臣は裸足でスタスタと歩いてきて、ソファーにどかっと腰掛けた。
隣に隆二の顔がある。
「あの絵の毒気にやられて、そうなったのならさ、早めに処分しろよな」
「うん、考えとく」
「は⁉︎」
「また変な行動されたら、こっちはたまったもんじゃねぇよ」
「だな…」
「それと、俺のピアスさぁ、お前ほんとに知んない?」
隆二は何も答えずグラスの酒を一気に飲み干して、ニヤリと微笑み返した。
「何?今の意味深な笑みは」
「…ピアスなんて知んねぇ」
「そっか、ならもういい」
臣も缶ビールを一気飲みした。
「明日、りおの服とかさ、生活用品買いに行かなきゃ」
「おみ…」
「ん?」
隆二は臣を引き寄せ、その首にあるビューティーマークに吸いついた。
「ひゃ‼︎くすぐったいから、よせ!」
肩を竦ませ、身をよじる。
隆二は逃げようとする臣を更に引き寄せ、
耳元で低く囁いた。
「いいか、臣。よく聞け」
「お前のこのホクロも、なくなったピアスもなにもかも、お前の一部は俺のもんだ」
「…わかったな?」
どの口が言ったんだろう。
普段の隆二なら、到底口に出さないようなセリフを言ってのけた。
ふわっとウォッカの香りが臣を包み込む。
悪い気はしなかった。
けど…
妙な違和感も感じた。
「夕方の続きな…」
隆二の方から誘ってきた。
臣が髪に巻いてたバスタオルを剥ぎ取り、ソファーに押し倒した。
「やっぱ俺のピアス隠したのって…」
「この期に及んで、野暮なこと聞くな」
「…しねぇのか?」
「ん?する」
「素直な臣って…たまんねぇな」
隆二が臣の上に乗っかってきた。
臣のボクサーパンツに手をかけた。
なんか…
新しいものが生まれそうな気がする…
子供とか、そういうのじゃなくて…
何かもっと別の…?
ワケもなく変な予感がしたが、
隆二の愛撫が始まると、そんな感情もすぐに消え去った。
「うん…っう…」
少し荒めの愛撫に声が漏れる。
気怠さと快感がさざ波のように押し寄せてきた。
「あ…」
絵のことは、明日考えよう。
今はただ、子供たちを起こさないように…
喘ぎ声を抑えるのがやっとだった。
完
いつもご愛読ありがとうございます。
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