『W旦那+(プラス)』 三代目妄想劇場 番外編(新生50)

お台場にある観覧車が見えてきた。



タクシーを降りてからずっと隆二と廉は手を繋いでいる。



雨も上がったせいか、ライトアップされた観覧車の前に、若い恋人達が列を作っている。



真っ直ぐその列に向かう隆二に廉が尋ねた。



「観覧車乗るんですか?」



「ああ、その方が夜景もよく見えるだろ?」



「二人っきりで?」



「ん?嫌なの?」



「人目が気になるし、僕、恥ずかしいです」



こんなチャンスは二度とないだろう。



だけど…



いくらサングラスを掛けているとはいえ、相手は誰もが知るビッグアーティストだ。



どこでパパラッチに遭遇するとも限らない。



平和な日常であればあるほど、世の中が度肝を抜く様なスキャンダルを求めて、彼らは夜の街を彷徨っているかもしれない。



隆二と噂になる勇気までは持ち合わせてない。


廉は観覧車に乗るのを躊躇った。



「あの、やっぱ食事行きませんか?」



隆二が足を止め廉の方を振り返った時、聞き覚えのある声が聞こえた。



「しゅごー✨観覧車よ‼️とーしゃん!」



え!?



隆臣くんの声が…



その場で固まった廉の口元を塞いでその腕を掴み、隆二は観覧車ではなく別の建物の陰に身を隠した。



「りゅ、隆二さん…💦」



後ろから廉を軽く拘束し、隆二は様子を伺っている。



「なんで臣とたっくんがこんな時間に、お台場にいるんだ!?」



つづく



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