三代目❤夢小説 『NAOTO編106』
まりあが勤める保育園に到着してすぐ、園長が慌てた様子で二人を出迎えた。
「園長?なにかあったんですか?」
「まりあ先生何も聞いてないの?」
「なんのことですか?」
「碧くん、さっき退職願を出して自分の荷物をまとめて出ていったんだけど」
「碧先生が…」
「彼から何も聞いてないの?」
「私は何も…」
直人が園長に尋ねた。
「退職願いってことは、また出勤されるんですよね?」
「それが…」
「病気の親御さんの転院も済ませて、今日東京を発つそうでね」
「彼の故郷って…」
「東北です」
まりあは動揺している風でもなく、直人を真っ直ぐ見て、落ち着いた様子でそう答えた。
「なんの前触れもなしに…」
園長はため息をつきながら椅子に深く腰掛けた。
「同僚の先生達には、時に厳しく接することもあったけど、仕事ぶりは真面目で、園の運営にも尽力してくれていたのに…痛手です」
「園長…」
「あの、部外者の僕が立ち入ったことを聞くのも恐縮ですが」
「彼、保育園では特に問題行動などなかったんでしょうか?」
「少し神経質な面はありましたが、問題行動を起こすような先生ではありませんでしたよ」
直人は説明のつかない違和感を感じていた。
「園長、碧先生なにか預けていった物はありませんか?」
「何かって?」
「例えばスマホとか」
「いえ、何も」
「そうですか」
「そういえばまりあ先生、碧先生との挙式はどうするの?」
「それは…」
「すぐに連絡をとった方がいいわ」
口ごもって言葉に出せないでいるまりあに代わって、直人が切り出した。
「実は園長先生、今日はその件でお願いがあって伺いました」
つづく
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2019.05.04 10:19
2019.05.04 10:17
2019.05.04 10:05