レンタ彼氏『OMI①』
花冷えにしては寒過ぎる。
最寄り駅に着いてスマホを見た。
22:15分。
通勤帰りの人々も、改札を出て方々に散っていった。
「うー、寒い!薄いショール持ってくればよかった…」
スプリングコートが風に揺れ、体の芯から冷える。
線路づたいに100メートル程歩くと、右手に大きな公園が見えてきた。
夜も更けた公園に人影はない。
入り口に差し掛かったとき、すぐ後方に人の気配がした。
振り向くと、黒いパーカーを着た男が近づいてくる。
通勤帰りの人だろうけど、なんだか気持ち悪い。
公園を抜けるまで何事もないように。
祈るような気持ちで足早に公園を横切る。
後ろの男が迫ってくる。
痴漢だったらどうしよう。
背筋が寒くなる。
公園を抜けたら派出所があるから、そこまで何もありませんように…
きっと家路を急いでいる人だ。
でも、怖い。
こんな時、迎えに来てくれる彼氏がいたら…
「なぁ!」
後ろの男が声をかけた時だった。
「お帰り、遅かったから迎えにきた」
公園の出口で立っている影が私に言った。
え?誰…
to be continued…
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2019.04.10 21:11
2019.04.10 15:48
2019.04.10 06:16