三代目❤夢小説 『NAOTO編56』
赤くなってうつむいたまりあを見て直人が言った。
「那覇ってネットカフェあるよね?おれ、そこで泊まるから、まりあはホテルに泊まっていいよ」
「…いや」
「え⁉︎」
「なおちゃんと一緒にいる…」
「いいの?」
「何もしないでしょ?」
「自信ない」
「…なおちゃんはそんなことしない」
「そんなことって?」
まりあは更に赤くなった。
「ウソだよ。変なことなんかしないよ」
「……」
「ほーら!そんな顔しないで。そのホテル押さえといて、なんか美味いもの食べに行こ!」
「ん」
ホテルの予約サイトを開いて、大人2名ツインルームの予約ボタンを押した。
緊張でスマホを操作する手が震えた。
直人は髪が触れるほど近くにいて、まりあのスマホを覗き込んでいる。
「予約取れた?んじゃ、これだけは食べて欲しいって思うまりあのオススメの店に案内して」
「こっちだよ」
国際通りにある店に向かいながら、二人は同じ事を考えていた。
ー沖縄最後の夜…まりあと二人きり…
ー直人さんと同じ部屋で二人きり…
「あのさ」
「あのね」
ほぼ同時に語りかけた。
「ん?なに?」
「なおちゃんから言って」
「碧先生のお母さんって、一刻を争う容体じゃないの?」
「沖縄の母にはああ言ったけど、彼のいつもの口実…」
「そういう風に言えば、どんなに大事な用事があっても、急いで駆けつけてくるってわかってて言ってるの」
「やっぱり…なんとなくそんな気がしてた」
「なおちゃん、着いたよ」
そこは、まりあの知り合いが経営する沖縄料理の店で、奥にある個室を用意してくれた。
二人はCAPを脱ぎ、サングラスや眼鏡を外した。
「ビールにする?」
「ん〜…沖縄最後の夜だから、泡盛の水割りもらおっかな」
「じゃ、私もそうする」
注文を済ませ、座敷に向かい合わせに座った。
「で、まりあの番だよ!さっきなに言おうとしたの?」
「なおちゃんと同じこと言おうとしたの」
「そっか」
「気にするのが普通よね」
「ホントに彼のお母さんの容体が悪かったらね」
「え?」
「…まりあを誘って呑気にお酒飲むわけにもいかないなって思ってね」
「大丈夫だよ。今夜は飲も!なおちゃん」
グラスを傾けた。
「じゃあ、沖縄の夜に」
「乾杯‼︎」
二人はほぼ同時に、グラスの酒を一気飲みした。
つづく
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2019.01.23 09:54
2019.01.23 09:12
2019.01.23 08:03