三代目❤夢小説 『NAOTO編39』
「直人…さん!?」
「俺なら…」
「君を泣かせたりしない」
波の音だけが聞こえる。
初恋の人、直人からの突然の告白。
瞬間、まりあは思った。
碧に出会う前だったら…
素直に大好きな直人の胸に飛び込んでいけるのに…
双方の親には挨拶を済ませている。
碧の母は、一人息子の晴れの日を生き甲斐に、懸命に病と戦っている。
もう後戻りできない。
『他に好きな人がいる』
そんなこと告げたら、碧は何をしでかすかわからない。
危うくて不安定な碧を見捨てることなど、まりあにはできなかった。
「…まるで、夢のようです」
「そう?」
「ホントに長い夢を見てるみたい…」
「……」
「幸せな夢は…いつか覚める」
「まりあちゃん…」
「もっと続きが見たいって思う夢ほど…早くに目が覚めて」
「現実に戻っちゃうんです」
「俺は夢なんかじゃない」
直人はまりあの手を取って、自分の胸に当てた。
外見からは想像できない程に鍛えられた厚い胸板から、
とくん、とくん…
直人のHeartが奏でる音が聞こえる。
「確かにここにいるだろ?」
まりあは必死に涙を堪えて声に出した。
「直人さんは憧れの芸能人で、やっぱり雲の上の人…」
「…好きって言ってくれただけで充分です」
「まりあちゃん、俺は」
「碧先生と別れるなんてできません…」
「……」
直人はまりあの手をゆっくり離した。
水平線を見つめる美しい横顔には、強い決意のようなものが見てとれた。
つづく
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2019.01.05 01:52
2019.01.05 00:29