ヒューマノイドロボット『RYUJI』蜜月島 mission14-①
「で、どうなの?うまくいってるの」
「はい、仰せのままに」
「あなたも見かけによらず、相当優秀なようね」
「マダム、報酬は約束通り?」
「もちろんよ」
「ボストン・ダイナミック社でのポストは約束されている。あなた程の技術があれば、向こうからスカウトしてきてもおかしくないわ」
「ありがとうございます」
「もちろん、提示の金額もあなたの望み通りに」
「そうですか…」
「でも、いいの?愛人のあなたが…」
「…僕なんて、どーせ火遊びのうち」
「いつまでも飼い猫のままじゃ、一生日の目を見ない」
「息子の…おぞましい性癖のために、あなたの人生まで狂わせたわね」
「優しいお気遣い、恐縮です、マダム」
「mission終了まで気を抜かないように」
「…はい」
「寝る間も惜しんで恋人の行方を探してるでしょ?目の下にクマが入った新郎なんて、先方に嫌われるわ」
「抜かりありませんが、そうはいってもプロフェッサーのことです。いつ蜜月島を探し当てるかわかりません」
「できるだけ挙式は早めにお願いします」
「ええ、わかってるわ」
「では、僕はこれで」
恭介の実家から黒塗りのベンツが出ていった。
少し離れた通りの影から、その様子を見ている男がいる。
「ありゃあ、BOSSのお袋さんじゃ…」
少し間を置いて、実家の通用口から華奢な体つきの人物が辺りをうかがいながら外に出てきた。
「…あいつは」
薄いピンクのコートを着て、ショールで顔を隠すように街中に消えていった。
「一見、女みてぇだが…なるほどそういうことか」
「BOSSに報告だ」
革ジャンの男は辺りを見渡し、人がいないのを確認するとそのまま空に向かって飛び上がった。
近くにいた野良猫がびっくりして身を伏せた。
男は高速でロボット工学研究所を目指した。
to be continued…
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2018.11.17 01:37
2018.11.17 01:34
2018.11.17 00:03