ヒューマノイドロボット『RYUJI』蜜月島mission 11-12
「二人っきりじゃねぇし…」
「確かに…ロボットだけどもう一人いるな」
夕食を済ませると、SPYは白い割烹着を脱ぎパンっと音を立てて畳んだ。
「それでは私はこれで」
「え!?どこ行くの?まさか恭介の研究所まで帰るんじゃ?」
「…はて?キョウスケの研究所とはどちらでございますか?私は裏山にある独身寮に帰るのですが」
「独身寮!?」
隆二がすっとんきょうな声を上げた。
「寮には他にもロボットがいるのか?」
「…いえ、私一人だけです」
「……」
「ではまた明日の朝参りますので、水入らずでごゆっくりお過ごし下さい」
優雅にお辞儀をしてから部屋を出ようとしてなにか思い立ったようにSPYが振り向いた。
「そうだ‼肝心な事をいい忘れてました」
「私の製造元はロボット工学研究所…とやらではなく、ボストン・ダイナミック社です」
「キョウスケとおっしゃる方のことはまったく存じませんので悪しからず」
「へ!?」
「では」
SPYはそう告げると、裏口のドアをバン!と
おもいっきり閉めて出ていった。
「あ、こら‼ちょっと待て❗」
隆二が後を追って裏口のドアを開けると、すでにSPYの姿は見えず、代わりに裏山の鬱蒼とした樹木だけが目に飛び込んできた。
「もういなくなってる」
「アイツ、おもいっきり閉めるからドアがたついてんじゃん…」
「ボストン・ダイナミック社って何だ?」
ダイニングの椅子に腰掛けた隆二に、向かいに座る臣が酒をすすめる。
「まだ飲むだろ?新しいの開けよっか?」
「うん…」
ワインセラーから一本取り出しラベルを確認する。
「お!?豊作の年の超高級ワインだ、これにしよ」
向かいに座り、ワインのコルクを抜きながら臣が言った。
「ボストン・ダイナミック社…ロボット開発で有名な会社だ。ニュースで見たことある」
「…恭介とは関係ないのか?」
「わかんないけど…グラス出して。これイケるよ、きっと」
「ワインの良し悪しはわかんない」
「別にいいんじゃないか?酔えればそれで…」
「…」
隆二がじっと臣を見ている。
「…ん?なんだよ?」
「酔わせて口説こうって思ってる?」
「口説いて欲しいか?」
「寝込みを襲うのはやめてね」
「シラフの時ならおけ?」
「……」
「ん?返事がない」
注がれたばかりのワインをぐいっとあけた。
「味わって飲めよ、超高級だぞ」
「うっわ!これうめぇ❤」
「だろ?」
「…酔っててもいいよ」
「え?」
「口説いてみてよ」
to be continued…
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2018.10.22 02:24
2018.10.21 23:32