ヒューマノイドロボット『RYUJI』蜜月島mission 11-11
「婚約のこと、聞かされてなかったの?」
「見合いするとは聞いてたけど…」
「しかも見合いと同時に婚約発表ってスピードだ」
「これは完全に仕組まれたな…」
「心当たりあるのか?」
「入院中に恭介のお母さんから忠告された」
「なんて?」
「しばらく距離おけってさ」
「…そっか」
「元々そういう約束だ」
「どちらかの結婚が決まるまでの関係…」
「俺は職業柄、結婚なんてまだ先のことだろうけど、アイツはそうはいかない」
「財閥の一人息子だっけ?」
「好きに生きていいかわりに、跡継ぎをもうけるのが親父さんとの約束だって」
「一人息子が実家の事業継いでないのなら、それもやむなしか…」
「…で、お前はどうすんの?」
「別れるよ」
「すぐに割りきれんのか?」
やけに優しい声で臣が聞いた。
隆二の脳裏に過去の記憶が甦ってくる。
ーまた、あの時みたいに、例えようのない孤独感に苛まれるのか?
ーたった一人で?
「…寂しくて、死んじゃうかもね、ウサギみたいに」
「隆二…」
臣がベッドに置かれた隆二の左手に触れた。
「…俺じゃ駄目か?」
「…なに言ってんの?それじゃ契約違反になるよ」
「金のことなんか関係ない。お前の心はどうなんだ?」
「…俺は」
「ちょっかいかけられるとウザイか?」
「…それは、恭介がいたからで」
「今は、どうなんだ?」
しばらく見つめあい、時が流れた。
隆二がようやく声に出した。
「…ここには」
「恭介はいない」
臣が続ける。
「RYUJIもいない…」
「…いるのは」
「俺とお前だけだ」
to be continued…
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2018.10.20 06:53
2018.10.20 06:42
2018.10.20 06:08