ヒューマノイドロボット『RYUJI』蜜月島mission 9-⑩
「うそ?…船が動いた」
「バカな…」
船はゆっくりと動き始めた。
「ロープで固定してたから、そんなはずは…」
モーター音と共に波を受けて船体が大きく揺れた。
「…危ない‼」
バランスを崩した隆二を臣が支えた。
「わりぃ…」
操縦席の屋根に手を添えて臣が踏ん張っている。
「舵が…」
「…まさか?自動操縦とか」
船はひとりでに舵を切り、マリーナを出て大海原へと出航し始めた。
「お…臣、止めてよ‼」
「無理だよ!俺、船の操縦なんかできねぇし…」
「航路とかわかんないし…真っ直ぐ進んだら他の船にぶつかるんじゃないの?」
隆二がそういった矢先に、前方に漁船が迫ってきた。
「え?どーすんの!ぶつかるよ‼」
「隆二‼伏せろ❗」
臣が咄嗟に隆二を引き寄せ、抱き抱えてしゃがみこんだ。
自分の体全体で隆二に覆い被さった。
「…おみ!?」
二人同時に目を固く閉じて衝撃に備えたが、何も変化はなかった。
臣がゆっくり顔を上げた。
船は漁船をかわして悠々と沖を目指している。
「…どうやら、航路もインプットされてるみたいだ」
「…インプットって」
「この船はどこに向かうの?」
「…俺にも、見当がつかないよ」
to be continued…
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2018.10.01 13:20
2018.10.01 12:40
2018.10.01 11:52