ヒューマノイドロボット『RYUJI』mission 7-①
「ああ、わかった。なるべく要望に応えるよ」
恭介がいる病室に、隆二が戻ってきた。
「ん?誰からだった?」
「登坂くんからだ」
「臣が⁉︎なんだって?」
「RYUJIにあまり危険なmissionをさせるなと言ってきた」
「そう…」
「それから、あまり隆二を泣かせるなとも言っていた」
「臣が?恭介に言ったの?」
「そう言いながら、それとなく俺が無事なのか探りを入れたかったんだろ」
「臣が?何のために?」
「お前の様子が尋常じゃなかったから、心配してのことだろう」
「ヤケに臣の気持ちが理解できるんだね…」
「そりゃ…」
大切な人の安逸を願う気持ちが、
恭介にはよく理解できた。
「お前、仕事は?」
「うん」
「重要なレコーディングやライブのリハーサルは行くけど、他の音合わせやロケなんかはRYUJIに行ってもらうことにした」
「…俺のことなら、心配しなくても」
「んなこと言って、俺がいなくなったら、また研究所の美少年連れ込むつもりでしょ?」
「……」
「そうはいかないよ」
「…なにも、お前が責任感じなくても」
「そんなんじゃないよ」
「俺が今、恭介の側に居たいんだ」
「……」
隆二はベッドサイドの椅子に腰掛けて、恭介の顔を覗き込んだ。
「なんか食べたい物ある?リンゴとか…」
「いや、いいよ」
「それよりも、ドアのロックをかけて中においで」
「…重症なんだから、変なことすんなよ」
恭介はなにも返さない。
隆二は特別室のドアの鍵を、中からかけた。
振り向くと、恭介が掛け布団をめくり、隆二を中へと誘っている。
隆二は上着を脱いでTシャツ一枚になり、恭介の隣に潜り込んだ。
ベッドに仰向けに寝っ転がると、恭介がヤケドを負った方の手で顔に触れてくる。
隆二はその手を取って、愛しそうにキスをした。
「…元通りになるの?」
「皮膚の移植手術をすれば、若干のひきつれは残るが、ほぼ元通りになるそうだ」
隆二はヤケドを負った部分に、優しく唇を這わせた。
「隆二…」
恭介はその手で隆二の頬に触れ、口づけをした。
「ん…病人は…大人しく寝てなきゃ…」
「キスだけだ」
「泣かせて悪かったな」
「恭介…」
「またウルってしてるぞ」
「恭介が心配させるからだろ…」
「…すまなかった」
下になっている隆二から恭介を抱き寄せた。
…戻ってきた
…もう、離さない…
恭介はまた優しく口づけをした。
真っ白な病室で、静かな時が流れていった。
to be continued…
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2018.05.30 11:44
2018.05.30 06:29
2018.05.30 04:19