三代目❤夢小説 『NAOTO編7』
「…そんな風に言われたの、初めてです」
個室のドアをノックする音が聞こえた。
「ご注文お決まりですか?」
「ほんとだ。オーダーまだだったね 笑」
直人とまりあは顔を見合わせて微笑みあった。
ランチを二つ注文し、スタッフが去ったあと直人が言った。
「サインどこにする?」
「じゃあ、キャップの裏で」
まりあはキャップをとって、直人に手渡した。
フワッと清潔な香りがした。
サインペンを出してきて、キャップの内側にサラサラと綴り終えて、まりあを見ると、
キャップの跡が気になるのか、髪をくしゃくしゃとほぐしている。
「はい、これでいいかな?」
「わぁ‼ありがとうございます❗」
キャップを受け取り、嬉しそうにサインを見つめている。
「髪、伸ばしたらグッと雰囲気が変わるだろね?」
直人がすぐ隣でまりあを見ている。
「短いの変ですか?」
実家の母には、男の子みたいなヘアスタイルじゃなくて、も少し女の子らしくしなさいって、いつも言われている。
「…いや、よく似合ってるよ」
大好きな人に息もかかりそうな距離でそんな風に言われると、ドキドキが止まらない。
「ちっちゃめの揺れるイヤリングつけて 、
も少し明るい色のグロスひいて…」
テーブルに肘をつき、手に顎を乗せて、まりあの顔をじっと見ている。
「まりあちゃんをプロデュースしたくなってきたな 笑」
「む、無理です‼家に帰ったらジャージ着て、体育座りでアイス食べてたりするのに…」
「いきなりのカミングアウト?」
「…カミングアウトって同性愛者が秘密を打ち明ける時限定みたいですよ」
「そうなんだ!知らなかった。秘密の暴露は全部カミングアウトだって思ってたよ」
「それはrevealっていうそうです」
「さすが保育園の先生。どんな英語の綴り?」
直人はテーブルに置いてあった、店の名刺を取って、サインペンと一緒にまりあに渡した。
まりあがそれを受け取り、名刺裏に英語の綴りを書く。
直人はすぐ近くに顔を寄せ、覗きこんでいる。
とてもいい香りがする。
保育園へ見学に来たときは香水の匂いはしなかった。
周りにとても気遣いや配慮ができる、大人の男性なんだと感じた。
「そうだ!まりあちゃんにお願いがあるんだ」
その言葉に驚いて顔を上げた。
すぐ近くに直人の澄んだ目があって、まりあは釘付けになった。
ー私がマンガの主人公だったら、今きっと目の形がハートになってるんだろな…
つづく
2コメント
2018.05.24 12:45
2018.05.24 05:14