ヒューマノイドロボット『RYUJI』mission6-⑩
スタジオを出た所でキョロキョロしていると、オープンカーが物凄いスピードでやって来て、臣の前で急ブレーキをかけた。
「よぉ!待たせたな」
運転席を見ると、髪をオールバックにし、真っ黒のサングラスを掛け、革ジャンを着たRYUJIが乗っている。
悪そうな顔で煙草をふかしている。
「この車…」
「おっ⁉気づいたか?昔、撮影で乗ってたんだろ?」
「R.Y.U.S.E.I.の時の…」
助手席に乗り込んだ。
「RYUJI、安全運転できないんだったら、俺タクシーで帰るから」
「わぁかってるって!せっかく迎えに来てやってんのに、つれねぇこと言うなよな」
臣がシートベルトを着けたのを確認して、RYUJIは静かに車を走らせた。
「やろうと思えばできんじゃん…」
「お前を乗せてる時は別だかんな」
「……」
安全運転をしながら、信号待ちになると、
RYUJIは口にくわえた煙草をプハーとやる。
「俺のこと大切に思ってるんだ」
「あたりめぇだ」
「だったら、煙草吸うのやめてくれよ」
「……」
RYUJIは臣の方をちらっと見て、顔に大量の煙を吹きかけた。
「こら‼なにすんだよ…」
言ってすぐに「ん?」…と首を傾げた。
「あれ?ジャスミンの香りがする…」
「フレーバータイプの煙草だ」
「体や喉に有害な煙じゃねーよ」
「…そうなんだ」
しばらくなにも語らない。
臣はウィンドウに肘をつき、移り行く景色を見ている。
ずっと隆二のことを考えている。
「…ん?家の方角じゃないぞ?」
「明日休みだろ?」
「そうだけど…」
「海、見に行くぞ」
to be continued…
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2018.05.18 13:24
2018.05.18 13:14
2018.05.18 12:27