『W旦那+(プラス)』The first time the zoo23 三代目妄想劇場ショートストーリー
臣「隆臣?」
隆臣「なぁに?」
臣「今日エビフライとハンバーグ食べたかったんだろ?明日行こうな」
隆臣「いーよ♪おとうしゃん」
臣「そっか…」
隆臣「お歌歌ってぇ」
隆臣が上を向いた。
もう半分ほど瞼が下がってきている。
臣「…ん、わかった」
静かに臣が歌い始める。
とても遠い道でした
思い出が溢れています
そう 輝いています
数えきれぬ長い夜と
新しい朝繰り返しながら
やっとめぐり逢えた二人…
隆臣の髪を撫でる。
隆臣はいつの間にか目を閉じている。
物音をたてずに、風呂上がりの隆二が部屋に入ってきた。
臣はちらっと視線を送った。
人差し指を唇の前で立てて、隆臣を起こさないよう合図を送る。
臣が歌い続ける。
しあわせなときにしか
決して見えない 歓(よろこ)びが あるんだとしたら
苦しいときにこそ見える
優しさもあると 信じて 歩いてください
臣が隆二を手招きした。
隆二は臣の導くまま、臣の背中に抱きついた。
臣の脇から手を伸ばし、隆臣の頬を優しく包む。
続けて隆二が歌い始めた。
ウエディングベルが鳴り響いて
晴れ渡る空に 夢がひとつ 生まれて瞬(またた)いて…
臣が隆二の腕を抱き、同時に隆臣の髪を撫でながら、隆二に続く。
素晴らしきかな人生… 明日ハレルヤ…
降り注ぐ 美しい光は Just For You & You…
隆臣は二人に優しく見守られて、眠りについた。
隆二が囁いた。
「幸せそうな顔して…どんな夢見てんのかな?」
「いろんな物に触れて、初めての友達もできて…楽しい夢見てんだよ、きっと…」
「そうだね、きっと…」
「おみ?」
「ん?」
「髪乾かしてくるから、離して」
「イヤだ、離さない」
ベッドに寝転がったまま、隆二をぎゅっと抱きしめた。
「…おみ」
しばらく見つめあったあと、唇を合わせようとすると…
「ひーしゃん…」
隆臣がむにゃむにゃと寝言を言った。
二人は止まったままで、隆臣を見ている。
「ちゅっぱちゅ…」
「しゅっぱちゅ…」
「しん…こぉ…」
一生懸命言い直しているのを見て、二人がプッと吹き出した。
「しー…起きるだろ 笑」
臣が隆二の口を塞いだ。
「やべー…腹いてぇ 笑」
「笑うな …本人は一生懸命なんだから…」
「臣こそ……ん?」
臣が隆二を下にして、キスをした。
「ん……たっくんの隣で始めないでよ」
「いーじゃん…」
「…ばか、ダメだってば」
臣が隆二の首筋に舌を這わせようとした瞬間…
「ぶしゃいね…」
隆臣がまた寝言を言った。
「ぷっ…ふふ」
「笑うなって…」
「たっくんが、ぶしゃいってよ…おみ 笑」
「…もぉ~💦やっぱ俺らの部屋に行こか?」
「ん…そうしよ」
隆二が先に起き上がり、臣の手を取って起こした。
「おみ…おもっ💦」
「るせー…」
「しーぃ…」
隆二は隆臣の両隣に、パンダリュックとぬいぐるみの『しゃんだいめ』をそっと置いた。
「たっくん…おやすみぃ」
二人して部屋を出た。
そっとドアを閉めると、
「へんてこしゃん !」
大きな声が聞こえて、慌てて部屋を覗きこんだ。
小さな寝息だけが聞こえる。
「夢の中、オールスター登場ですんごいことになってんだろな 笑」
「いつ起きても怖くないように、ちっちゃく明かりつけとこ」
「ん…」
柔らかな間接照明の中、隆臣の長い1日が終わった。
完
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2018.05.12 13:48
2018.05.12 13:36
2018.05.12 13:24