ヒューマノイドロボット『RYUJI』mission4-⑤
「臣…諦めるって」
「俺ら何も始まってないじゃん…」
臣は薄く笑った。
「そうだな…なにも始まってない」
「じゃな」
臣は掛けていた眼鏡を人差し指で上げ、チラリと視線を送った後、それ以上はなにも言わずに去っていった。
(俺に相談もなしに…)
通路奥の部屋から白い影が出てきた。
「恭介‼︎」
「なんだ?定時になるまでカフェで待ってなさい」
「臣となにを密談したの?」
「密談?人聞きの悪い…商談だ」
「俺に相談もなしに…」
「で?どうなった?」
「商談成立だ」
「……」
「RYUJIは今どこ?」
「カプセルと一緒に登坂くんの元へ行ったよ」
「こんなに早く…」
「お前が望んだことだ」
(そうだけど…)
(臣がこんなに早く…結論を出すとは思わなかった…)
「もういいだろ?勤務中だ」
「…臣の所に行っても、RYUJIの行動は把握できるんだよね?」
「それは試運転時の話だ」
「登坂くんの契約時間内は彼の所有物だ」
「RYUJIの行動をこちらで監視するのは、契約違反になる」
「…野放しってワケか?」
「昼間は研究所の管轄下にいる」
「聞きたいことがあれば、昼間にRYUJIから聞けばいい」
「…RYUJIはなんて?」
「珍しくはしゃいで出て行ったよ」
「……」
「この段階で、お前のそんな表情を見るのは…想定外だな」
to be continued…
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2018.04.25 11:59
2018.04.25 11:19
2018.04.25 07:02