ヒューマノイドロボット『RYUJI』mission3-①
「なんでシャツ破ったの?」
翌日、ロボット工学研究所近くのカフェで、
隆二が恭介に尋ねた。
「なんとなく」
「そんな趣味あったっけ?」
「満足したのなら蒸し返すことじゃないだろ?」
恭介はブレンドを音も立てずに飲んでいる。
「で?俺が今着てるのは?」
「RYUJIが着ていたパーカーだ」
「だろうね。タバコ臭い…」
隆二は上に着ている白いパーカーをクンクン匂っている。
「あいつ裸で帰ったの?」
「ああ…空飛んでな」
「え!?あいつ空飛べるやつ?」
「成層圏位までなら行けるだろ」
「スゲー!!!…」
「今度飛ばしてもいい?」
「別に構わないが、RYUJIがYesって言うかどうか…」
「えっ⁉恭介の命令って絶対じゃないの?」
「RYUJIをその辺のロボットと一緒にするな」
「自分で考えて行動できる、最新のAI(人工知能)を持っているんだ。嫌なら誰の命令にも従わない」
「それってもうターミネーターじゃん…」
「そのもっと先を行ってるよ」
恭介は目を細めて、隆二の口元に触れた。
「ん?なんかついてる?」
「メープルシロップが…」
「ついてた?Thank You」
「…何回された?」
「ん?なにが?」
「…いや、なんでもない」
「俺さぁ、昨日臣と飲んでて、途中で眠くなって」
「気がついたら、お前に抱かれてて…」
「……」
「恭介いつ来たの?」
「お前からLINEが来た後だ」
「記憶にないんだけど…確かに履歴残ってた」
「……」
「臣と会った?」
「いや…」
「そう」
登坂くんと…
何回キスしたんだ?
完全無欠のプロフェッサーも…
どうしても知りたくない事実もある。
恭介がじっと見つめる唇は、メープルシロップがたっぷりかかったフレンチトーストをモゴモゴ咀嚼している。
隆二の髭辺りまで、シロップまみれになっている。
「そういうとこ、ほっとけないんだろな…」
「さっきからゴニョゴニョなに言ってんの?」
「別に…」
「RYUJIは?」
「中途半端におあづけ食らっている男の所だ」
「…?何しに行ったの?」
「陣中見舞い」
to be continued…
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2018.04.10 13:05
2018.04.10 12:55
2018.04.10 12:43